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「災害前より日本をよくする」気概

2011-11-03 17:03:03 | 編集手帳



  10月31日付 読売新聞編集手帳


  〈日本が敗戦から早く復興できた秘密は何か〉。
  ホワイトハウスを訪れた大平正芳外相(のちの首相)は、
  ケネディ米大統領の質問に
  〈災害が多いこと〉
  を挙げた。

  怪訝(けげん)な顔をする大統領に、
  大平氏は
  「日本人は耐えて、
   克服し、
   災害前よりは日本をよくするんだという気概を持ってきた。
   この力こそが復興の原動力だ」
  と語った。

  本格的な復興予算の国会審議が始まった。
  野田首相は
  「国家国民のための大仕事」
  を誓った。
  同じことに取り組んだ先人たちがいる。
  1995年の阪神大震災に直面した村山元首相は
  「従来の慣行やら制度にとらわれないで、
   やらなきゃならんことはやり尽くせ。
   責任は内閣で持つ」
  と閣僚や役人らにハッパをかけて前例のない予算措置や立法を進めた。
  最近刊行された
  『村山富市の証言録』(新生舎出版)にある。

  それでも実現しなかった被災者支援策があった。
  「ちゃんとできなくて本当に残念だったよ」。
  淡々とした口調に村山氏の無念さがにじむ。

  今回の大震災でも復興が遅れ、
  希望を持てないことに大勢の人たちが耐え続けている。
  「日本をよくする」
  気概を国会が示す番だ。
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