11月19日 NHK海外ネットワーク
地中海の真珠といわれる島国キプロス。
歴史的にも経済的にもギリシャと深いつながりを持ってきた。
そのキプロスの7月~9月までのGDPは前の3ヶ月と比べてー0,7%と悪化した。
今月はじめには国債の格付けが2段階引き下げられた。
原因はキプロスが保有しているギリシャ国債。
居年末の時点で国内の大手銀行2行で6,000億円の国際を保有。
EU域内ではGDP比で最も高い保有率である。
保有しているギリシャ国債が値下がりしていることで、
キプロスの銀行の資産は大幅に減少している。
その結果新たな融資など控えざるを得ず、貸し渋りがおきている。
その影響を真っ先に受けているのが中小企業。
仕事が減り事務所などの維持費を親族から借金をしてしのいでいる。
銀行から以前よりしっかりした担保が求められるようになり、
銀行からの借り入れは難しくなった。
ギリシャ発の信用不安は、
投資の多くをユーロ圏に頼ってきたキプロスの経済も変えようとしている。
これまでユーロ圏からの投資が盛んだった別荘地。
ユーロ加入前、20%にも満たなかったロシア客による別荘購入が
いまでは全体の半分以上占めるようになった。
ギリシャ発の信用不安は
ついに世界第7位、ユーロ圏で第3の経済力を持つイタリアまで広がった。
イタリア国債の価格が下落し、
長期金利の指標となる10年物の国債利回りが危険水準といわれる7%を超えた。
自力での返済が難しい水準で、
ギリシャやアイルランドがIMF国際通貨基金やEUに金融支援を要請したときの状態である。
高級自動車やファッション、グルメ、
世界的なブランドも数多くギリシャとは比べ物にならないほど豊かなイタリアが
こんな状態になったのは
政治の不安定、構造的な問題、低成長などで市場の信用を失ったからである。
公的債務は用六派最大の1兆9,000億ユーロ。
GDP比で120%。
さまざまな問題を抱えながら改革が遅れていた。
数多くのスキャンダルにまみれたベルルスコーニ前首相は辞表を提出。
ヨーロッパでは歴史的な瞬間だと喜び合う姿が見られた。
マリオ・モンティ氏ひきいる新内閣が発足、
前任者と全く対照的なモンティ氏は経済学者で、
新内閣は専門家集団で政治家がひとりもいない実務型の内閣。
国の収入を増やすため経済成長への展望を開くことがカギで
雇用制度の改革や規制緩和を断行する必要がある。
モンティ首相は「公正な負担」を求めていく考えで
国民の理解はきわめて重要となる。