10月30日 NHK海外ネットワーク
中国は経済成長が続いているが人口抑制政策の影響が出始めている。
首都北京に隣接する河北省保定は、
数年前までは服飾産業の盛んな町としてにぎわっていた。
しかし今では半数の企業が倒産や撤退、
会社の名前が書かれた看板ははずされシャッターも閉まったまま。
ある工場の従業員は9年前の半数になり
生産ラインの一部はストップし、多くのミシンはほこりをかぶったままだ。
労働者を集めることは年々困難になっている。
中国の一人っ子政策は1979年から本格的に始まった。
人口の急激な増加で深刻な食糧問題が起きるのをふせぐため、
“一組の夫婦は原則として一人の子”しか持てない。
しかしこの政策によって、
中国の全人口に占める生産年齢人口(15歳~64歳)の割合は、
2015年ごろをピークに減り始めると予想されている。
特に問題なのは、
農村から出稼ぎに来て
安い賃金で働き経済成長を支えてきた農民工と呼ばれる労働者の不足である。
求人難に悩む企業に労働者を紹介するサービスを始めた会社。
労働者の争奪戦が全国規模で激しくなっているからである。
すでに約300万人の労働者が登録しており、
企業側は待遇などを登録し欲しい人材の条件を伝える。
売り手市場という状況の中、
出稼ぎに出ようとする若者はより良い待遇を求めている。
新聞が、経済成長を支えてきた環境省で試験的に一人っ子政策が緩和さると報じた。
親のどちらかが一人っ子の場合二人目の子供を認める、というもので
政策の転換につながるのか関心を集めた。
しかし専門家は、現状では政策を転換するのは難しいと指摘している。
中国人民大学教授
「2人目3人目の子供の出産を認めれば
労働力不足の問題は解決できるかもしれないが、
資源や環境などより深刻な問題に直面するだろう。」
一人っ子政策で人口の増加は抑えたものの、
労働力不足に悩む中国。
人口政策の舵取りの難しさに直面している。