11月5日 NHK海外ネットワーク
オバマ大統領はすでに来年11月の本選挙を見据えて、
事実上の選挙活動を始めている。
しかし景気の悪化を受けて苦戦を強いられている。
全米を回るオバマ大統領専用の遊説バスは1台約8,600万円の大型バス。
再選を目ざすオバマ大統領は、有権者に直接指示を訴える機会が増えている。
南部バージニア州は前回の大統領選挙では民主党が勝利。
もともと共和党が伝統的に強い州で民主党の勝利は44年ぶりだった。
選挙戦を左右するこの重要な州でオバマ大統領が最も強調しているのが雇用。
オバマ大統領は景気対策を次々と打ち出し、
新たな雇用を生み出そうとしているものの効果は表れず、
全米の失業率は就任時より悪い9%台で高止まりしている。
バージニア州も例外ではない。
中でも特に深刻なのが州南部マーティンズビル。
家具や織物の生産が主要産業だが、失業率は州内で最悪の19%。
3年前より8ポイントも悪化した。
バージニア州では11月8日州議会選挙が行なわれるが、
民主党候補者には強い逆風が吹いている。
2008年にオバマ大統領のキャンペーンを熱狂的に支えたのが
民主党の議員や候補者たちだった。
長い大統領選挙を勝ち抜く上でその組織力やネットワークは欠かせないが、
経済状況を改善できない今、
オバマ大統領と距離を置く地元議員が増えている。
現職ならではの豊富な資金力と組織力で選挙戦を進めるオバマ大統領。
しかし3年前の熱狂的な支持は影を潜め、
足元の民主党支持層からも冷ややかな視線を向けられている。
オバマ大統領の苦戦は支持率にも表れている。
最新の調査では、「支持する」が42%に対し、
「支持しない」は50%と8ポイント上回っている。
また先月中旬に行なわれた調査では、
大統領選挙でオバマ大統領に投票すると答えた人は38%に対し、
共和党の候補に投票すると解答した人は46%に上った。
就任直後は70%近かったオバマ大統領の支持率がここまで低下した原因のひとつは
高い失業率と景気の低迷に対して有効な手を打てないからである。
その背景にはアメリカ議会のねじれ現象がある。
上院はわずかに民主党が共和党を上回っているものの、
下院では共和党が圧倒的な多数で、
オバマ大統領が打ち出した景気浮揚策は共和党の反対で実現しなかった。
3年前はオバマ大統領の最後の演説にはバージニア州で10万人が集まった。
わずか3年で隔世の感がある。
急速な雇用の回復が望めない中で、
大統領は今後1年、引き続き厳しい戦いを強いられることになる。
一方の共和党にとっては絶好のチャンスのはずがそれを生かしきれていない。
ケイン氏が支持を伸ばす最大の理由が
政治経験が無い新鮮さである。
それだけ既存の政治体制への批判は強く、
その矛先は共和党にも向けられているわけだ。
そのケイン氏も全米レストラン協会会長時代、
女性職員にセクハラを行ない抗議を受けていたと報じられている。
これから1年の長い選挙戦を優位に戦い抜けるのかどうか
共和党の候補者選びもまだまだ先は読めない。