11月5日 NHK海外ネットワーク
アメリカ 西部開拓時代に大統領を選ぶ選挙は、
11月の第一月曜日の次の火曜日と定められていた。
人々が日曜の礼拝を終えてから馬車で町に投票に来ても間に合うようにしたためである。
来年の11月6日火曜日に向けた戦いが始まっている。
オバマ大統領の民主党と共和党の二大政党の争いである。
民主党はオバマ大統領が指名される見通しだが
共和党は混戦模様。
共和党の候補者選びで一躍表舞台に躍り出たのが、
南部出身の実業家ハーマン・ケイン氏(65)。
ハーマン氏はピザやハンバーガーの経営で手腕を発揮し、
全米レストラン協会の会長も務めた。
ケイン氏
「国民は政治家ではなくビジネスマンを大統領に望んでいる。
私は40年以上にわたってビジネスの世界で成功してきた。」
ケイン氏の代名詞となっているのは
“9 9 9”。
法人税、消費税、所得税の税率を一律9%に統一、
税制を簡素化し抜け穴をなくして公平にすることで経済が活性化すると主張している。
そのわかりやすさが人気の要因となっている。
ケイン氏
「私の支持が拡大しているのは
候補者の中でメッセージが最も力強いからです。」
共和党の主な候補者は8人で、
世論調査のたびにトップが入れ替わってきた。
穏健保守派の ロムニー 前マサチューセッツ州知事は安定して上位を維持している。
ぺリー テキサス州知事は一時30%近くまで上がったものの8%まで急落。
ケイン氏は一ヶ月足らずで4倍に伸ばし現在26%でトップに立った。
大統領選挙で30年間共和党が勝ち続けている南部テキサス州は保守が根強い地域。
候補者選びでカギを握る保守派の市民運動のティーパーティは、
1773年、紅茶への課税などをめぐり、
宗主国イギリスへ反発した市民が紅茶を海に投げ入れた
ボストン茶会事件(The Boston Tea Party)にちなんだ名前である。
建国の理念の尊重と小さな政府が主張の柱。
強硬な保守派として全米各地で運動を拡大している。
ケイン氏がこのまま支持を広げていくのか、
他の候補者が巻きかえすのか。
浮き沈みの激しい共和党の候補者選びは
混戦のまま年明けに始まる予備選挙に突入しようとしている。
各州で予備選挙や党員集会を開いて候補者を絞り込む。
1月3日、他の州に先立っ中西部のてアイオワ州で共和党党員集会が開かれ
戦いの火ぶたが切って落とされる。
これに東部のニューハンプシャーが続き、
その後、各州で次々と行なわれ、
最大のヤマ場は、
スーパーチューズデーを呼ばれている3月6日、
テキサス、ジョージアなど10の州でいっせいに予備選挙や党員集会が行なわれる。
6月のユタ州を最後に予備選挙は終わる。
この時点で候補者は一人に絞られ、
8月27~30日の共和党大会で共和党候補者として正式に承認される。
9月3~6日は民主党大会でオバマ大統領を指名する見通しで
ここから民主対共和の一対一の戦いである。
10月にはいるとテレビ討論がある。
初めて行なわれたのは1960年。
知名度で劣る43歳のケネディ上院議員が
ニクソン副大統領を破るきっかけになったといわれているのがこの討論である。
11月6日 大統領選挙の投票日を迎える。