12月1日 NHK海外ネットワーク
韓国の大統領は1期5年まででイ・ミョンバク大統領は来年2月で現職を退く。
投票は12月19日。
事実上2人の争いである。
与党のパク・クネ候補(60)。
父親はパク・チョンヒ元大統領である。
1961年 クーデターで政権を掌握し韓国の高度経済成長を実現させた一方
民主化を弾圧した人物。
その長女が韓国初の女性大統領を目指している。
最大野党のムン・ジェイン候補(59)は貧しい家庭の出身で弁護士として
のちの大統領となるノ・ムヒョン氏とともに民主化運動を支援。
ノ・ムヒョン政権では秘書室長を務めた。
軍事独裁体制を築いた元大統領の長女か
人権派弁護士で前大統領の腹心か
保守と革新という立場とともに生い立ちや信条も大きく異なっている。
今回の選挙ではもう一人注目された人物がいた。
ベンチャー企業家で医師 そして大学教師でもあったアン・チョルス氏(50)。
若者や無党派層の支持を得て台風の目とみられていたが
先週 突然 辞退を表明。
このアン・チョルス氏の支持層をどれだけ取り込むことができるかが
勝敗のカギとなる。
そして今回選挙の最大の争点は経済格差をいかに是正するか。
財閥を中心とした大企業に富が集中して
多くの若者が大学を出ても職に就けないという現状に不満を募らせている。
ムン氏は「大企業の活動を規制すべきだ」としているのに対し
パク氏は「大企業の規制には反対」の立場である。
最新の世論調査では
の機会にパク氏の支持率が45%
ムン氏は42%と拮抗している。
北朝鮮が事実上の長距離弾道ミサイルの発射を予告したことから
両候補とも憂慮を示すものとみられる。
しかしこれまではイ・ミョンバク政権の間に南北関係が悪化したため
どちらが当選しても関係改善に向けて動き出すとみられている。
ただ両候補の間で温度差はある。
より積極的なのが野党のムン氏で
大統領になったら来年のうちに
キム・ジョンウン第一書記との首脳会談を行うと言明している。
一方 与党の朴氏は幾分慎重である。
北朝鮮が柔軟な姿勢を示すかどうかを見極めながら
段階的に協力を進めていくことが重要だとしている。
日韓関係については両候補とも改善したいという意思を明確にしている。
ただ両候補とも竹島については譲らず
歴史を巡る問題についても日本の前向きな対応が必要だという姿勢である。
関係改善を模索するにしても韓国国内の世論には敏感にならざるを得ないだけに
衆議院選挙のあと日本の政権が韓国を刺激するようなことは避けてほしい
というのが両陣営に共通した本音のようである。
朝鮮半島 東アジアの安定のためにも日韓両国の協力が欠かせないだけに
選挙の行方は日本にとっても極めて重要である。
日韓関係の改善の仕切り直しの機会にすることができるかどうか注目される。