12月4日 おはよう日本
中国に広がった反日デモの深刻な影響に日本の中小企業が対応を迫られている。
中国のリスクを再認識した進出企業のあいだで
中国以外の東南アジアなどにもう一つ生産拠点を持ってリスクを分散させる
チャイナプラス1という動きが加速しようとしている。
中でも切実なのが中小企業。
中国には1万社を超える日本企業が進出しているが
56%が従業員50人未満という小さな企業で製造業が中心である。
こうした中小企業は取引先から安定供給を求められ
チャイナプラス1は避けられない課題となっている。
今年4月に中国に進出した富山県魚津市の金属部品メーカー。
従業員は42人。
大手建設機械メーカーの孫請けとしてシリンダーの部品などを製造してきた。
ところが10月 中国進出からわずか半年で
チャイナプラス1の検討を余儀なくされていた。
(金属部品メーカー 長村勝専務)
「もし中国がどうにかなったら
フィリピンで合弁会社を作ってそこから供給しようという案が進んでいる。」
その引き金となったのが尖閣諸島の国有化に対する反日デモ。
中国工場の運営は厳しい状況に陥った。
いま製造ラインの稼働率は当初の4割で
出荷を待つ部品で埋まるはずだった棚もほとんどがカラ。
今年の夏以降の中国市場の景気減退も影響し売り上げ回復の兆しは見えていない。
この苦境をなんとか打開したいと
この部品メーカーはフィリピンに進出し安定供給を可能にすることで
新たな取引先をつかむしかないと考えている。
「フィリピンに合弁会社を立ち上げ
それによって安定供給しようと。
営業側として中国がだめならうちは終わりとは言えない。
安定供給できる範囲の対象はとるアピールはしたい。」
NHKが10月に富山県の中国信支出企業に行ったアンケートの結果
半数以上が
チャイナプラス1の必要性を感じる
または実際に行っている
と回答している。
(福井県立大学 地域経済研究所 池部亮准教授)
「中国一辺倒で一極集中で
輸出産業はそこでしか物をつくっていないという企業は
工場が3,4日止まる可能性があるなら
補完的な生産ができる工場を東南アジアに1つ設けたい
という心理が今強くなっていると思う。」
しかし新たに海外進出しようにも中小企業の限られた情報やノウハウでは限界がある。
機械メーカーでは大手の総合商社の力を借りてチャイナプラス1を考えている。
この機械メーカーは大手自動車メーカー向けに
生産ラインの機会をオーダーメイドで作っている。
7年前 中国に進出したがリスクを感じ東南アジアへの進出を検討している。
地元の銀行など複数の担当者を集めて始まった商談で
商社側は
来年から入居が本格化するインドネシアの工業団地を勧めてきた。
(商社)
「首都ジャカルタのあるジャワ島に
ASEANの4分の1近くの人と金が集まっている。」
インドネシアは人口2億4千万人。
人件費だけでなくマーケットとしても期待が集まっている。
今 大手自動車メーカーも進出に力を入れており
下請けとなる中小企業の需要も増している。
大手商社はここに巨大な工業団地を開発し
3,000ヘクタールの土地に150社を誘致。
原材料の調達から物流まで一括して行うことで
中小企業でも進出しやすいサービスを提供できると説明した。
さらに商社側は
自動車メーカーを取引先とする機械メーカーにとって立地も絶好の場所にある
と訴えた。
(商社)
「ジャカルタ近郊の自動車組み立てメーカーの
私どもの工業団地はちょうど真ん中に位置する。
どのメーカーに部品をおさめるにもいい土地かと。」
一方メーカー側が懸念したのは
初めて乗り出す国で優秀な人材を確保できるかどうかだった。
(メーカー側)
「私が一番気にしているのは人です。
日本人に対する理解度
なかなかそういった人と出会える確率は非常に難しいところが中国でもありました。」
新たな資金を投入しインドネシアに社運を賭けていいのか
悩みながらもチャイナプラス1への待ったなしの検討が続く。
(機械メーカー 藤田淳二社長)
「中国から完全なシフトはないでしょうが
将来も考えて東南アジアなどへの進出は避けて通れないという感覚でいます。」
新たなリスクを背負ってでも東南アジアへ乗り出さなければならない中小企業。
専門家によると
そうしなければ取引先から信頼を得られない状況になりつつあり
今後こうした動きは全国で進むだろう
ということである。である