12月4日 おはよう日本
日本から海外へ輸出されている人気農産物がある。
北海道産の酒米。
海を越えてヨーロッパの酒蔵でこだわりの日本酒が作られている。
新十津川町で最盛期を迎えた酒米の収穫作業。
香りと深みにある味わいが評判なのが吟風という品種。
この吟風は遠く海を超えたヨーロッパで日本酒になっている。
ノルウェーの首都オスロの寿司店を訪ねてみるとその日本酒があった。
「日本のお米を使ってノルウェーで作られた日本酒です。
とてもおいしいですよ。」
酒の銘柄は裸島(ヌウグネ)。
小さな島の名前で漢字で同じ意味の裸島を充てた。
フルーティーでほどよい酸味が好評である。
「ノルウェー産の日本酒なんて誇らしいよ。」
「いつもは赤ワインだけど日本酒もいいね。」
日本酒が作られているのはノルウェー南部の町グリムスター。
ここにヨーロッパで唯一の日本酒の酒蔵がある。
もともとビールの醸造を行ってきたこの会社で2年前に新たに日本酒作りを始めた。
「吟風です。
日本で精米してもらって使う時が来るまで低温で貯蔵しています。
とても良いお米です。」
この蔵では自分たちならではの日本酒を作りたいと
伝統的な山廃(やまはい)と呼ばれる手法に挑戦している。
人工的に繁殖させた菌ではなく天然の菌で時間をかけて酒米を熟成させる方法である。
自然の菌を使うことでノルウェーの風土を反映した日本酒ができるのでは
と考えた。
「日本の伝統的な手法によって私たちの酒に独特の味が出ていると思います。」
作り方とともにもうひとつ重要なのがノルウェーでは栽培出来ない米。
数ある酒米の中から吟風を選んだのにも理由がある。
冷涼な気候が似ている北海道で育った米を使うことで
北国らしい日本酒造りができると考えたのである。
「私たちはノルウェーにいる者として
北国の風土と精神を味で表現したかったんです。」
遠くノルウェーで作られている吟風を使った日本酒。
新十津川町の生産者たちもノルウェーでの評判に手ごたえを感じている。
「日本の日本酒とちょっと感じが違う。
飲みやすさで言ったら本当に飲みやすいかもしれない。」
「吟風がノルウェーに行って
こうやってノルウェーの人が喜んで飲んでくれているのは大変うれしいことです。
どんどん行ってくれればいいと思います。」
北海道で生まれ海を超えた酒米。
これからの広がりに期待が膨らむ。
このお酒はノルウェーだけではなくデンマークやカナダでも飲まれている。