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世界遺産アヤソフィア “モスク化”の波紋

2020-08-07 07:04:34 | 報道/ニュース

7月13日 NHKBS1「国際報道2020」


トルコのイスタンブールを代表する歴史的建造物アヤソフィア。
これまで博物館として使われ
世界各地から大勢の観光客が訪れてきた。
しかしエルドアン大統領は
7月
裁判所の判断を受けて
アヤソフィアをイスラム教のモスクに変更すると発表した。
イスラム教徒が大半を占めるトルコ国内で
歓迎の声が上がる一方
キリスト教圏からは批判が出ている。

7月10日の金曜日
アヤソフィアの周辺には大勢の市民が詰めかけ歓声を上げた。
「この日を長く待ち望んでいました。」
「アヤソフィアはモスクであるべき。
 すべての人がそれを尊重すべきだ。」
アヤソフィアはもともと
キリスト教の聖堂としてビザンツ帝国時代の537年に創建。
長らくギリシャ正教の総本山となってきたが
1453年
オスマン帝国が街を征服するとモスクに改修された。
しかしトルコ建国の父 アタチュルク初代大統領は
宗教と距離を置く“世俗主義”を国是とし
1934年にアヤソフィアを博物館に変えたのである。
歴史学者は「博物館への変更は世俗主義を象徴する選択だった」と指摘する。
(ボアズイチ大学 エルデム教授)
「博物館への変更は
 新生トルコが西欧とともに歩むという意志を示す方法でした。
 おそらくそれが最善の解決策なのです。
 モスクとしても教会としても使用しないことです。」
建国以来の世俗主義を揺るがしてきたのが現在のエルドアン大統領である。
それまで禁じられていた公の場でのスカーフの着用を解禁するなど
イスラム教の価値観を重視する政策を推進。
そして今回
異なる“宗教や文化の共存の象徴“とも呼ばれたアヤソフィアをモスクとすることを決めたのである。
(トルコ エルドアン大統領)
「我々は裁判所の判断に基づき
 大統領令をもってアヤソフィアを再びモスクとする。」
国民の多数を占めるイスラム教徒たちの間からは
アヤソフィアをモスクに戻すことを歓迎する声が上がっている。
(イスラム教徒)
「我々にとってお祝いの日です。」
この日アヤソフィアに駆け付けたカランジュさん(53)。
カランジュさんは子どものころからアヤソフィアが博物館であることに違和感を抱いてきたと言う。
(カランジュさん)
「アヤソフィアを何度訪れても悲しくなります。
 礼拝ができないからです。」
エルドアン大統領は
7月24日にアヤソフィアで初めての金曜礼拝を行なうと発表。
カランジュさん家族はその日を心待ちにしている。
(カランジュさん)
「我々はアヤソフィアで礼拝する権利を与えられたのではなく
 取り戻したのです。
 エルドアン大統領をさらに好きになりました。」
一方 キリスト教圏からは批判の声が相次いでいる。
(ローマ・カトリック教会 フランシスコ教皇)
「アヤソフィアのことを考えるととても心が痛む。」
(ロシア正教会 イラリオン府主教)
「トルコ政府の決定は
 世界中の東方正教会の信者を傷つけるものだ。」
さらにEU(ヨーロッパ連合)からも。
(EU ボレル上級代表)
「(声明)エルドアン大統領の決定は残念だ」
エルドアン大統領は
引き続きアヤソフィアには“誰でも訪問できる”と強調しつつも
批判をけん制している。
(トルコ エルドアン大統領)
「国際社会からの意見はもちろん歓迎するが
 アヤソフィアをどう使用するかはトルコの主権にかかわることだ。」
キリスト教徒に配慮した建国時の選択をくつがえし
イスラム教徒の思いを優先したエルドアン大統領。
欧米との新たな火種となりそうである。

 

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