7月31日 NHK「おはよう日本」
火星探査車「パーセヴィアランス」。
開発したメンバーの中に日本人の若きエンジニアがいる。
入ること自体が極めて難しいNASAの研究所で
惑星探査の夢にかける思いとは。
探査車の開発に携わったエンジニア大丸拓郎さん。
大丸さんが主に担当したのは
調査の鍵を握るサンプルの回収システムである。
機械の配列などを制御する専門家として
気温がマイナス110度にもなる火星で機器が正確に動くよう
設計から試験まですべての工程に携わった。
(NASAジェット推進研究所 大丸拓郎さん)
「過酷な熱環境で動かす方が
メカニカルな機械のシステムは壊れやすいし
精度を保つのも難しくなってくる。
なかなか思う通りには行かなくて幾度となく壁にぶつかったが
そのつどチームのみんなと協力してトラブルを解決して
何とかやり遂げた。」
秋田県出身の大丸さん。
高校生の頃から宇宙に興味を持ち
東北大学の大学院で宇宙工学を学んだ。
NASAで惑星探査に携わりたいと思ったきっかけは
8年前
火星探査車「キュリオシティ」の活躍を目の当たりにしたことだった。
(大丸拓郎さん)
「この世にこんなにかっこいいものが存在するのかという衝撃を受けて。
僕が一番ひかれたのは
ロボットを使った惑星探査だが
将来ここで働くしかないと心に決めた。」
しかし
火星探査車を開発するNASAの研究所で働く約6,000人の職員のうち
日本人はわずか10人ほど。
極めて狭き門だった。
そこで取り組んだのが他の人にはない高い専門性を身につけることだった。
惑星探査には欠かせない
機械の熱を制御する最先端の技術を研究し
自分を売り込もうと考えた。
さらに
大丸さんは国際学会に積極的に参加し
その場でNASAの技術者に直接研究所の見学を申し込むなどして
人脈を築いていく。
そうした努力の結果
研究所でのインターンシップに参加することができ
3年前念願だったNASAへの採用が決まったのである。
(大丸拓郎さん)
「夢への切符を手にしたという感覚でした。
自分が関わっているプロジェクトによって
人類の歴史に大きな発見を残せるかもしれない。
とてもやりがいを感じている。」
人類の未来を切り開く可能性を秘めた今回のプロジェクト。
大丸さんはその成功が“今を生きる人々の希望につながれば“と願っている。
(NASAジェット推進研究所 大丸拓郎さん)
「火星探査機ということで
視線が地球上だけでなく
その先に向く。
地球規模でなかなか明るいニュースがないと思うので
今回のパーセヴィアランスの打ち上げが
世界中の人々の希望になればいい。」
大丸さんは今後について
火星だけでなく木星の衛星や月の探査にも
自分の技術を生かしていきたいという。