7月15日 NHKBS1「国際報道2020」
フランスでは昔からカフェでゆったりと過ごす文化が根付いているが
近年は店の数が減って
そこに新型コロナウィルスの影響が加わって
カフェを取り巻く状況は厳しさを増している。
そんななか新人オーナーが次々に生まれているという。
パリ市内のカフェ。
日曜日の夕時は大勢の人がテラス席でくつろいでいる。
新型コロナウィルスの影響で今年3月から営業が禁止されていたフランスのカフェ。
6月の営業再開とともに客足は瞬く間に戻り
ふだん通りの活気を取り戻している。
「カフェはパリ市民にとって大切なものよ。」
「テラスでのカフェを満喫しているよ。」
しかしフランス北東部の人口750の小さな町ユニィでは
一昨年12月に小さなカフェが閉店し
カフェ不在の町となってしまった。
地方では高齢化などを背景に利用客が年々減少していて
1960年代には20万軒あったカフェの数は5分の1以下にまで落ち込んでいる。
その町に6月新たなカフェがオープンした。
経営者のガルガノさん(33)。
去年までクリーンイング店などで働いていたが
カフェの経営者を募集していることを知り応募した。
(ガルガノさん)
「祖母がパスタを手作りするのを見て育ちました。
幼い頃から料理が大好きで
カフェを開くのが夢だったんです。」
ガルガノさんを後押ししているのが
“小さな町にカフェを招致する”という
官民一体のプロジェクトである。
人口3,500に満たない自治体を対象に
新たなカフェのオープンと経営の支援をしている。
(プロジェクト運営会社 会長)
「カフェは住民たちの出会いの場で
おしゃべりをする憩いの場です。
小さな町に息吹を与えたいのです。
自治体の立候補に全国から応募があります。」
プロジェクトでは
役場が所有する空き物件を格安で借り上げたり
カフェのオーナーの最低賃金を補償したりするなど
手厚い支援を進めている。
その結果
いまでは希望する自治体が殺到しているという。
(ユニィ ブルギニョン市長)
「永続性があるので関心を持って
すぐに書類を準備して応募しました。」
ガルガノさんはプロジェクトのスタッフにアドバイスをもらいながら
地元に密着したカフェを目指して営業を続けている。
(客)
「仲間と週に1~2回このカフェに集まります。
人と出会う場所ができてうれしい。」
カフェのオープンを目前に新型コロナウィルスの感染拡大で飲食店の営業が禁止されてしまい
開店を延期したガルガノさん。
そこで始めたのが
出かけられないお年寄りのために弁当を作って配る活動である。
制限が解除された今も続けている。
「ボンジュール。」
「取れたての新鮮サラダです。
近所で作られた野菜です。」
「ありがとう。
ご親切にどうも。」
こうして知り合ったお年寄りたちが今では常連客に。
(常連客)
「カフェの客とおしゃべりしたりする雰囲気が好き。
小さい町ではすぐ知り合いになります。」
小さな町で復活したカフェの灯。
集う人々のつながりが
町に活気を取り戻していく。