8月2日 NHK「これでわかった!世界のいま」
オーストリアの夏の祭典「ザルツブルグ音楽祭」。
期間中は毎日オペラやコンサートが上演され
世界を代表する音楽家やオーケストラが参加する。
今年は音楽祭が始まって100年という節目の年である。
経済危機や戦争でこれまで2回中断されたことがあるが
それを乗り越え
世界中の人々をひきつけてきた。
音楽祭が始まった1920年。
当時のヨーロッパは第1次世界大戦の直後だった。
世界で猛威を振るったスペイン風邪が大流行し
厳しい状況が続いていた。
こうしたなか
音楽の力で人々を勇気づけようと開催されたのがザルツブルグ音楽祭である。
音楽祭の運営責任者は
こうした歴史があるからこそ
2020年の今年は大きな意義があると考えている。
(音楽祭の運営責任者)
「100年前の音楽祭が苦しい時代の希望となったように
このコロナ危機の時代に
人々に希望を与える音楽祭にしたい。」
ただ音楽祭という大規模イベントで感染リスクとどう向き合うのか。
まず決めたのが規模の縮小である。
開催期間を短縮して公演数を半分に減らしたほか
会場を限定し
感染対策を徹底できるようにした。
入り口には消毒液を置き
スタッフはマスクやフェイスガードを着用している。
しかし音楽祭では対策を取りにくい場所もある。
出演者が立つ舞台の上である。
オペラではマスクを着けて演じることはできず
出演者同士の距離も近くなってしまう。
また音楽祭では出演者や舞台面のスタッフ・警備員などさまざまな職種の人が関わり
統一したルールなどを設けることができない。
そこで考えられたのが3種類のスタッフカードである。
関係者を職種や役割に応じて3つのグループに分ける。
黄色は
警備員やチケットの販売員など対策を十分に取ることができる人たち。
赤は
舞台に上がりマスクの着用などが難しい出演者たちである。
そしてオレンジは
赤の出演者と接触せざるを得ない舞台まわりのスタッフである。
特に赤の出演者は
週に1回 PCR検査を義務付けられ
誰と会ったのか記録をすることも求められる。
演目も感染リスクを抑えることを考慮して決めた。
オペラは少ない出演者で上演できる2つの演目が選ばれた。
1公演およそ2時間と比較的上演時間を比較的短いものにしている。
音楽祭の上演監督を務める著名なピアニストのヒンターホイザーさん。
この音楽祭で新たな形を世界に示したいと考えている。
(音楽祭の芸術監督 ヒンターホイザーさん)
「ウィルスが突然消えることはないので
共存する方法を考えなければいけない。
もし1か月間 大きな問題なくやり遂げることができれば
芸術イベントの開催は可能であると世界に示すことができる。」