2021年3月27日 読売新聞「編集手帳」
変なクイズを考える級友がいた。
『巨人の星』の歌はどうはじまるか?
なんだ、
そんなことか。
♪思い込んだら…と歌うと、
首を横に振られた。
「シュッ キーン ダダダッ ワーッ…だろう」
いわゆる引っかけ問題である。
昭和の子供たちを夢中にさせたアニメの主題歌はイントロの前、
投げる、
打つ、
走る、
観衆のざわめき、
という効果音に始まっていた。
去年のプロ野球はテレビ中継、球場の観戦のいずれでも打球音がよく響いた。
にぎやかな応援の鳴り物や、
ワーッの歓声もない球場はさみしいものの、
代わりに野球の迫力を伝えるものがあった。
プロ野球が開幕した。
残念なことに“かんせん”事情は今年もあまり変わらない。
仙台や大阪では陽性確認数がにわかに増えている。
球団の責任と苦労は大きいだろう。
全国を巡りつつ集団感染を出さない活動を、
シーズンを通してやり遂げてもらいたい。
米国ではホームランを「Big Swat」とも呼ぶ。
スワットは「ピシャッと打つ」という意で、
警察の特殊部隊「SWAT」の名も打撃にかけたものらしい。
世を苦しめる敵をピシャッと迎え撃て。