11月9日 BIZ+SUNDAY
カンボジアへの医療の輸出を病院とともに進めている日揮。
世界中で石油プラントの建設などを手掛けてきた日揮は
今後 医療の輸出が大きなビジネスになると考え今回のプロジェクトに乗り出した。
(日揮 医療・福祉プロジェクト 金光健理事)
「石油系のプラントビジネスのほかにも何本か大きな柱を作る必要がある。
1つの柱として医療・福祉という世界も可能性があると思っている。
我々が海外で培ったマネジメント技術が適用できる分野だと思う。」
しかし医療の輸出にはさまざまな課題があることがわかってきた。
その1つが治療費の設定。
カンボジアではある理由から治療費を高く設定すると患者が来ない恐れがある。
「価格は自由に設定できるが
一方で日本と違って社会保険が整備されてないので。」
日本では国民皆保険制度があり多くの患者の医療費の負担は3割にとどまっている。
しかしカンボジアには公的な医療保険制度がないため全額負担となっている。
「いい医療があっても患者が払えなかったらあっても無いのと同じなので。」
首都プノンペンでは1世帯当たりひと月の手取りは平均約5万円。
治療費をいくらにすれば採算が合うのか頭を悩ませている。
もう1つの課題は現地の人材をどう育てるか。
病院では医療スタッフの3分の2の約50人をカンボジアで採用する計画である。
しかし優秀な人材の確保は難しいのが現状である。
(現地駐在スタッフ)
「メディカルエンジニアはカンボジアにはまだ明確には無い職種。」
たとえばカンボジアには医療機器を扱う技術者の資格がない。
そのため一から教育する必要がある。
「たとえば工学的な知識のある人を採用して医療機器メーカーで研修を受けてもらう。」
(カンボジアに行く 林祥史医師)
「我々からしたら当然の職種が向こうにはまだなかったり整備されていない。
我々の中で作っていく形になると思う。」
(日揮 医療・福祉プロジェクト 金光健理事)
「実際に運営してみないとまだ見えていない問題があるかもしれないが
日本のいい医療 サービスが提供できれば必ずこのビジネスは成り立つと考えている。」
11月9日 BIZ+SUNDAY
平均寿命が世界で一番長い日本。
手術の技術や質の高い医療サービスは国際的にも高い評価を得ている。
政府は医療の海外展開を成長の柱に掲げ
2020年までに海外での市場を今の3倍の1,5兆円に増やそうとしている。
新興国を中心に病院などの拠点をつくり医師を送り込んで医療機器や医薬品を輸出。
日本の医療を産業としてとらえ国際競争力を高めようというのである。
これまで厚生労働省は医療法人の海外展開を正式に認めていなかったが
今年3月方針を転換した。
“本来業務に支障のない範囲内であれば医療法人の海外展開を認める”としたため
医療の海外展開が本格的に始まった。
1人当たりのGDPが5万ドルを超え富裕層が多く住むシンガポール。
中心街にあるホテルのような建物は富裕層が多く通う巨大な病院である。
日本と違うのは病院の中にたくさんクリニックがあること。
病院には専門医によるクリニックが150以上設けられ患者の診察にあたっている。
去年ここに大手商社の三井物産が日本の医療グループと共同で経営するクリニックが出来た。
送り込んだのは高度な手術が行える医師4人。
日本の医療技術の輸出である。
医師の専門は生体肝移植。
重い肝臓病を患った人たちなどを救う世界でも最先端の医療である。
(木内哲也医師)
「日本で生体肝移植が始まって25年近くたって
同じように東南アジアの国々や他の国々でも生体肝移植を体験できるように手伝いが出来たらいい。」
このクリニックで移植手術を受けた1歳10か月のランド・シルセックちゃん。
生体肝移植の手術費用は一般的に約1千万円。
それでも両親は日本の高い医療サービスに満足している。
(父親)
「医療サービスはとても素晴らしい。
すべてのケアの質が高い。
治療の進展についても誠実に説明してくれて
術後のケアが特にすばらしい。」
クリニックを経営する三井物産はアジアの医療関連市場は年間80兆円と見込んでいる。
今後3年でこうした事業を中心に利益を3倍に拡大するのが目標である。
(三井物産 齋藤雅文さん)
「日本の医療に対する評価はきっちりとある。
生体肝移植は高度なものを持っているが
それ以外でも日本の高度船体医療はあるので研究して分野の広がりを考えていきたい。」
病院を丸ごと輸出しようという動きも起きている。
東京八王子にある病院。
地域の中核病院として年間2000件以上救急患者を受け入れている。
国が支援する初めての病院丸ごと輸出。、
1年後 カンボジアでの救命救急病院の開業を目指している。
プロジェクトでは医師や看護師を送り込むだけでなく
医療機器・さらにはリハビリや衛生管理のノウハウなども丸ごと輸出したいと考えている。
(医療法人社団KNI 北原茂実理事長)
「我々がやっている仕事は日本のショールームを作ること。
ものだけではなく心。
日本人の物の考え方・理念。
医療がきちんとした目的と理念を持っていればお金を回していくことができる。」
病院丸ごと輸出に大きな期待を寄せているのが医療機器メーカー。
売り上げが国内トップのテルモ。
心不全や心筋梗塞の治療に使われるカテーテル。
金属のワイヤーを血管に入れてつまった部分を広げる。
病院丸ごと輸出をきっかけにカテーテルの技術指導を進め 拡大につなげたいとしている。
(テルモ 佐藤慎二郎取締役 上席執行役員)
「日本の医療水準やドクターの技術に信頼とかブランドに対するあこがれがある。
そうしたイメージと我々の医療の技術を組み合わせて
新興国に持っていく売り出していくことが非常にプラスになると思っている。」
清掃業者も期待を寄せている。
院内感染を防ぐ衛生管理の技術を輸出できないかと考えている。
また管理栄養士が作る病院食も海外に売り込むことができる。
さらに出版社にもビジネスチャンスが。
医療用語の翻訳ソフトを使ってほしいというのである。
「カンボジア語(クメール語)に置き換えれば勉強に使っていただけると思っている。」
(メディカ出版 長谷川素美社長)
「国内市場はだんだん収縮してきているから
どんな小さな会社でも外に出ていかなければいけない。」
動き始めた“病院丸ごと”輸出。
産業としての広がりが見え始めている。
(医療法人社団KNI 北原茂実理事長)
「医療というのはきちんとしたことをすればいくらでも利益を生むはず。
本当は医療は稼げる産業。
医療が稼ぐことによって金が回る。」
11月9日 BIZ+SUNDAY
高齢化が進む日本では老人ホームなど高齢者用施設の不足が大きな問題になっている。
その解決策の一つとして期待されているのがヘルスケアリート。
不動産投資信託の一つで老人ホームなど供給する資金を市場を通じて広く集めようというのである。
高齢者施設に特化して投資するヘルスケアリート。
初めて東京証券取引所に上場された。
大和証券グループの資産運用会社が作ったこのリート。
上場で一般の投資家にも販売できるようになりより多くの資金を集められるようになった。
リートの運用会社は市場を通じて投資家から資金を集め介護事業者が運営する高齢者施設を買い取る。
介護事業者は施設の運営に専念。
賃貸料を運用会社に支払う。
運用会社はこの賃貸料から投資家に収益を分配する。
大阪府豊中市にある介護付き老人ホーム。
施設をリートに売却しその利益で新たな施設を造ろうと考えている。
(介護事業者 茶^無・ケア・コーポレーション 下村隆彦社長)
「現在 9つのホームを自前で所有している。
これも順次売却しながら新しい案件の資金に充当する。」
リートの運用会社は投資する施設を選ぶにあたってサービスなどを厳しく審査する。
サービスが悪ければ入居率が低下し賃貸収入が減る恐れがあるからである。
(リート運用会社)
「1人の入居者に対してスタッフの方は何名ぐらい付かれるのでしょうか。」
(介護事業者)
「この浴室であれば2人のスタッフがいますので安全面に配慮して
1人は必ず見守りにつくような体制で。
1人はお風呂上がりの準備であったり。」
(リート運用会社 大和リアル・エステート・アセット・マネジメント 大村展弘シニア・マネージャー)
「運営がうまくいかなくて将来的に支払いが出来なくなる事態は避けなければならない。」
リートの運用会社に高齢者施設を売るのは介護事業者だけにとどまらない。
不動産会社も運用会社という新たな買い手が登場したことで施設の建設に積極的になった。
持ち込まれたのは神奈川県にある2千坪の土地に関する案件。
分譲マンションを建設する計画だったが老人ホームへの変更を検討している。
(総合地所 不動産開発事業本部 井上理晴副本部長)
「これからシニアの方の住宅というのは大事。
今回大きなチャンスかなと思っている。」
リートの運用会社では現在約130億円規模の投資額を
3年後には1千億円にまで拡大したいとしている。
(大和証券グループ本社 日比野隆司社長)
「大変なスピードで高齢化社会に突入していくと。
高齢者向けの施設が絶対的に不足している。
ビジネス機会としてかなり大きなものが期待できる。」
11月9日 BIZ+SUNDAY
日本のラーメンは海外でも人気でアジアにはすでに1千軒以上のラーメン店があるそうである。
海外に出店するのには資金や人手やノウハウなどが必要で
資金力のある大手チェーンでないと難しいのが現状だった。
こうしたなか街の小さな個人経営の海外進出をサポートするビジネスが登場。
注目を集めている。
シンガポールに新しいラーメン店がオープンした。
日本でも人気の鶏白湯ラーメン。
「麺の触感がいいわね。」
「スープがさっぱりしているのに味わい深くてとてもおいしい。」
味にうるさいシンガポールの人たちにも好評である。
シンガポールで提供されていたのは東京都北区のお店のラーメン。
店主の内田元さんは通もうなされるこだわりのラーメンを作り続けている。
(らあめんHAJIME 内田元さん)
「外国の方のことを考えたときに豚肉が食べられない国も多くて
豚のチャーシューを使わないで鶏チャーシューを使っている。」
自分のラーメンは海外に通用するのか。
いつか試してみたいと考えていた内田さん。
そんな内田さんに海外進出のチャンスが訪れたのは2年前。
資金も人手もノウハウも不要。
海外に出向く必要すらないという夢のような話だった。
「実質資金がゼロの状態で海外でラーメン屋が始められるというのはノーリスク。
失敗しても僕は損しないからいいかぐらいの
そんな面白さにのってみたという感じ。」
内田さんの海外進出をサポートしたのはグルメイノベーション 井上琢磨社長。
以前は大手IT企業に勤めていたが
海外でのラーメンの将来性に魅力を感じ事業を立ち上げた。
(グルメイノベーション 井上琢磨社長)
「日本でのラーメンのマーケットは約8割が個人事業主。
個人の方々がお金を3000万とか4000万集めて海外に出て行こうと思うとハードルが高い。
僕らと一緒であれば海外に持っていくことができて
そんなに多くないかもしれないけどきちんとリターンもある。」
資金も人手もなしでどうやって海外進出をするのか。
井上さんが考えた方法はこれまでにない斬新な方法だった。
まず麺のうち方からスープの作り方まで店の命ともいえるラーメンの作り方をすべてレシピ化する。
井上さん自身が調理場に入り職人が体で覚えているラーメンづくりの技術を徹底的に数値化していく。
スープは色・濃度・粘度を調理時間ごとに計測。
誰が作っても同じ味のラーメンができるようになるため海外に職人を送り込む必要が無くなるのである。
(本田商店 本田眞人さん)
「レシピをゆだねてやっていく不安は
正直ないことはない。
おいしいものを食べて喜んでいただきたいという気持ちをしっかり受け継いでやっていただきたい。」
店舗探しからスタッフの手配まですべてを井上さんの会社が行い
レシピを提供した店側には売り上げの2%が支払われる仕組みである。
実はシンガポールのラーメン店が出すラーメンは1種類だけではない。
豚骨しょうゆ、こってりしょうゆ、みそ、担担麺、鶏白湯、豚骨
その数は6種類。
6軒のラーメン店のレシピを集めその味を再現しているのである。
なぜ6種類ものラーメンを出すのか。
そこには井上さんなりの計算がある。
通常 飲食店が海外に出店する場合
その味が現地で受け入れられなければ撤退するしかなく
大きなリスクがあった。
そこで1軒の店でまったく味の違うラーメンを複数提供。
人気のないラーメンがあっても他のラーメンでカバーできるようにしたのである。
海外出店の大きなリスクを回避するこのビジネスモデルが投資家に認められ
6千万円もの開業資金を集めることに成功した。
井上さんはこの仕組みを使って日本の様々な食文化を海外に発信したいと考えている。
(グルメイノベーション 井上琢磨さん)
「日本はいろいろなコンテンツ
素晴らしいものを持っている。
ラーメンでうまくいけばラーメン以外の食材だったり
海外にどんどん持っていくような
プラットフォームとしての機能を会社で持てればいいと思う。」
11月11日 編集手帳
悲観論者と楽観論者の違いを述べたジョークがある。
「この酒は南京虫の臭(にお)い がする」と説くのが悲観論者で、
「この南京虫は酒の臭いがする」と説くのが楽観論者であると。
酒と虫のどちらが好みかと問われたら、
答えに窮する。
楽観論に立っても手放しでは喜べず、
悲観論に立ってもさほど落胆するには及ばない。
世の中にはときに、
そういう出来事がある。
安倍首相と習近平国家主席による約3年ぶりの日中首脳会談は、
“楽”“悲”いずれのレンズも通さず、
裸眼で冷静に行く末を見守るべきニュースかも知れない。
政治的な演技としても習主席の仏頂面には興ざめしたが、
政治とは一説に「悲惨」と「不快」のどちらを採るかの選択だという。
中国が尖閣をめぐって不測の事態が起きる「悲惨」を避けるべく、
気の進まぬ会談を選択したとすれば、
失礼な仏頂面にもなにがしかの意義はあろう。
論語の「徳は…」をもじった戯(ざ)れ言に〈酒は孤(こ)ならず、
必ず隣(となり)あり〉とある。
隣り合った国の首脳同士が虫のにおわぬ美酒で肝胆相照らすには、
まだまだ時間がかかる。
悲観せず、
楽観せず、
長い旅の一歩である。
11月9日 NHK海外ネットワーク
今年で誕生から40年となる日本生まれのキャラクター ハローキティ。
その人気は世界中に広がっている。
人気歌手アブリル・ラヴィーンさんが歌うハローキティーをテーマにした曲。
ファッションモデルのパリス・ヒルトンさんのドレスには小さな顔がたくさんあしらわれている。
世界的人気を誇る歌手 レディー・ガガさんも。
10月30日 ロサンゼルスでハローキティ誕生40年を記念したイベントには大勢の人たちが集まった。
グッズ販売やハローキティの歴史を振り返る展示が行われた。
入場券は完売し
4日間で約2万5千人が訪れた。
「とにかくカワイイわ。」
「1970年代から40年近くファンです。
娘もそうなのよ。」
ハローキティが誕生したのは1974年。
世界的に知名度が高まったきっかけは販売戦略の転換だった。
子ども向け中心の商品作りだったのが
近年は海外の服飾ブランドとのライセンス契約に力を入れるようになった。
大人の女性もターゲットにしたのである。
グッズの販売は現在世界70以上の国と地域にまで広がっている。
なぜここまで浸透したのか。
ハローキティに詳しい文化人類学者 ハワイ大学のクリスティン・ヤノ教授。
人気の理由に挙げたのはデザインのシンプルさである。
変幻自在でどんないでたちをしても似合う可愛らしさが強みだと言う。
(ハワイ大学 クリスティン・ヤノ教授)
「エレガントでシンプルなのが成功の秘訣でしょう。
柔軟性や創造性
そして“遊び”を兼ね備えたキャラクター。」
ファンは何処に魅力を感じているのか。
ロサンゼルスに住むマリア・フレイシュマンさん(34)。
身の回りはすべてハローキティに囲まれている。
自分を理解してくれる話し相手のような存在だと言う。
(マリア・フレイシュマンさん)
「いつもそばにいてくれた。
友だちのような存在。
落ち込んだ時に元気づけてくれる。」
趣味が高じて仕事もキャラクターデザイナーの道を選んだ。
いつかは自分もだれかの大切な存在になるようなキャラクターを作るのが夢。
今後は歌って踊れるキャラクターとして新たな展開の計画されているハローキティ。
戦略を担うデザイナーは時代の風を柔軟に取り入れ
変化していく姿を見せたいと話す。
(デザインを30年以上担当 山口裕子さん)
「また40年後が楽しみ。
さらに進化していく。
オンリーワンのキャラクターだと思っている。」
11月9日 NHK海外ネットワーク
現在も一部がそのまま残されているベルリンの壁。
25年前 1989年11月9日に壊された。
ドイツの統一が実現。
ヨーロッパは大きな発展を遂げる。
EUは東方へと拡大。
ソビエト解体後に誕生したロシアとも共に歩んできた。
ベルリンの壁崩壊を記念した2009年の式典では“東西の共存共栄”が演出された。
しかし今年 情勢は大きく変化。
ウクライナ危機をきっかけにヨーロッパとロシアの関係は悪化した。
ウクライナではロシアとの国境に新たに壁を作る動きが出てきている。
ヨーロッパを取り巻く環境は緊迫している。
ウクライナ東部で政府軍と新ロシア派の間で続いた先頭をきっかけにロシアの脅威が高まっているためである。
ドイツは統一後 経済や資源取引でロシアとの関係を深めてきた。
欧米とロシアによる制裁合戦の影響は実体経済にも及んでいる。
ロシアと取引をしている企業の中にはロシアへの輸出が滞り打撃を受けているというところもある。
(ドイツ 機械メーカー 販売部長)
「企業としては非常に厳しい状況だ。
我々とロシアの間では長い間良い関係が築かれてきた。
ドイツとロシアともに高い代償を支払うことになるだろう。」
ドイツは冷戦下で国の分断を経験するなど対立の歴史に翻弄されてきた。
それだけに市民の平和に対する思いは強い。
まるで過去に戻ったかのような対立の再燃に不安を感じていると言う人は少なくない。
「お前たちがベルリンの壁の向こう側に行くことなどありえない。
当時の東ドイツの学校ではそう当たり前のように教えていた。」
若者たちに語りかけるのは旧東ドイツで生まれ育ったジャーナリスト ジークベルト・シェーフケさん(55)。
かつて東ドイツの民主化を求める反体制派として活動していた。
東ドイツの実態をひそかに取材し西側に発信し続けた。
1989年にシェーフケさんが撮影した東ドイツの町の様子には
言論や集会の自由が制限され
経済の疲弊で貧しい生活を余儀なくされていた人々の姿が収められている。
「私たちはなんとか生きている。
このことを報道して。」
つもりに積もった不満は人々を行動へと駆り立てた。
シェーフケさんはその決定的な瞬間を撮影した。
1989年10月9日 東部の都市ライプツィヒ。
7万人が行ったデモ行進である。
自由を求めて叫ぶ人たちを目の当たりにし
民主化のうねりはもはや止めることはできないと思ったと言う。
(ジークベルト・シェーフケさん)
「この映像はドイツだけでなくヨーロッパや世界を変えると確信した。」
撮影した映像は秘密警察の厳しい監視の目をくぐり抜け西側に届けられた。
シェーフケさんは身の危険も感じたが強い思いが必死の行動を支えた。
「壁と共に生活することが我慢できなかった。
それは自由でいたかったから。」
シェーフケさんの映像は世界を駆け巡り各地の民主化運動に火をつけた。
デモから1か月後ベルリンの壁は崩壊した。
30年近くドイツを分断してきた壁の崩壊は冷戦終結の象徴となった。
しかしシェーフケさんは今ウクライナ危機をきっかけに25年前に勝ち取った自由と平和が脅かされていると感じている。
冷戦時のような東西の対立が再び起きるのではないかと強い危機感を抱いている。
「25年前と同じような不安な気持ちだ。
今すぐそばに戦争がある。」
ヨーロッパ28か国の若者たちを相手に行った講演で
シェーフケさんは自分がかつて撮影した映像などを見せ
新たな対立は防がねばならないと訴えかけた。
「今のヨーロッパの状況を見ると焦りを感じる。
ニュースではこの10日間で300人の死者がでたというが
けが人は1,000人規模でいるはず。
これらは私たちのすぐ玄関先で起きている。」
(参加した若者)
「若者にはやれることがたくさんあるし現状を変えることができると思った。」
「かつてドイツでは独愛体制に平和的に打ち勝つことができた。
ウクライナ危機も同様の平和的手段で解決してほしい。」
(ジークベルト・シーフケさん)
「私は世界は平和になると期待している。
私が東ドイツ時代に何を経験し
自由がないことが何を意味するのか
そのことを若者たちは自国に持ち帰って伝えてくれるだろう。」
歴史を決して逆戻りさせてはいけない。
シェーフケさんは自由と平和の重みを伝え続けていくと決意をあらたにしている。
11月9日 NHK海外ネットワーク
11月4日 上海で日本の60余りの企業や自治体などが参加して工業製品の展示会が開かれた。
注目されたのは大気汚染物質PM2,5を取り除く空気清浄器。
それに工場の排ガスを処理する設備だった。
(参加した日本企業)
「中国にも装置があるがメンテナンスや効率などを含めたら日本の物を買おうかと。」
日本が環境対策で培ってきた優れた技術が中国側の関心を集めた。
(中国企業の担当者)
「日本の技術は進んでいるので中国では需要が高い。
良い製品があれば導入を検討したい。」
中国では車の排気ガスや工場からの煙などを原因とする大気汚染が深刻な問題となっている。
このため日本のメーカーの中には空調設備の製造工場を新たに中国に設けたところもある。
大気汚染対策の重要性が高まるにつれ空調設備は中国企業の間でも導入が進んでいる。
日中関係が冷え込む中でも空調設備の売り上げは毎年10%の伸びを維持してきた。
(大手電機メーカー 中国総代表)
「かつての日本の公害問題の取り組みで環境対応技術が
今急速に発展する中国市場でうまく適合させられるのではないか。」
環境対策に加え
高齢化で中国でも需要の拡大が見込まれる医療技術の分野に注目しているメーカー。
去年 大連に医療機器の開発拠点を新たに設立した。
中国の理工系の大学などの卒業生200人以上雇い
中国でのニーズに合った製品の開発を進めている。
日中関係の冷え込みが長引くなかメーカーではAPECでの首脳会談が両国の関係改善につながってほしいと期待している。
(大手電機メーカー 中国総代表)
「日中関係が良い方向に向かうことで
事業の面でも良い影響が現れることを願う。」
(北京大学 王勇教授)
「日本は非常に重要な隣国、経済大国で両国の経済関係は大事だ。
中国は日本との関係が元に戻ることを希望している。」
11月6日 キャッチ!
インドネシアの今年7月から9月までのGDP国内総生産は5,01%のプラス。
リーマンショックの影響を受けた2009年以来最も低い伸び率となった。
7%の経済成長を目標にかかげ
先月就任したばかりのジョコ大統領にとっては厳しい数字である。
シンガポールCNAは
インドネシアでは内需の冷え込みなどから雇用情勢も悪化しており
とりわけ若者の雇用をいかに増やすかが課題になっていると伝えている。
インドネシアのGDP国内総生産の伸び率はここ5年間で最も低い数字となった。
世界的な需要低迷に加え
大統領選挙期間中の消費拡大の反動で内需が冷え込んだことが原因である。
財政赤字の縮小を図る一方で成長率の押上げを目指すインドネシア政府だが
雇用情勢も深刻で
特に若年層の失業率は非常に高く15歳~24歳までの22%が仕事を見つけることができない。
労働集約型産業で若者の労働をいかに増やしていくか
政府は対策を迫られている。
インドネシアの製造業を成長させるために職業訓練校が大きな役割を担っている。
こうした訓練校の卒業生は1年間に130万人おり
卒業前から就職の誘いを受ける人も少なくない。
それでも男性の5分の1
女性の3分の1近くが仕事に就くことができない。
失業が深刻な現状が社会的価値の後退や治安の悪化などにつながる懸念が出ている。
こうしたなかで雇用する側は現在の法律では人を雇うのが難しくなっているという。
(商工会議所 クリス・カンカー氏)
「雇用や競争を促す環境が必要ですが現在の法律ではそれが出来ません
退職金も高いですし
最低賃金も以前の2倍になっており
いずれも労働生産性に見合う金額ではありません。」
企業経営者は最低賃金の上昇で経費がかさみ
結果として企業の成長が阻害され雇用創出も進まないと言う。
専門家は労働集約型産業の雇用を増やす責任は企業だけでなく政府の側にもあると指摘する。
(アジア開発銀行 スタルム・ウィリョノ氏)
「企業というのは新卒者を使ってくれるお客さんでもあるわけですから
政府は企業と学校の協力を進める奨励策を用意すべきだと思います。」
11月2日 NHK海外ネットワーク
カンボジアでは毎年夏に高校3年生を対象にした全国一斉の卒業試験が行われる。
この試験で不合格になると卒業はできず留年である。
例年は8割の生徒が合格するこの試験に
今年は約10万人の受験生のうちわずか26%しか合格しなかった。
なぜ今年に限って合格率が激しく落ち込んだのか。
その背景には長年行われてきた不正行為があった。
首都プノンペンの高校。
授業を受けているのはこの夏の試験で不合格だった生徒たち。
4人に1人しか合格できないという前例のない結果になった今年の試験。
不合格の生徒を救済しようと政府は急きょ11月に追試を行うことに決めた。
なんとか卒業したいと生徒たちは秋になっても高校に通い特別授業を受けている。
去年までは8割の生徒が合格していた全国規模の卒業試験。
しかし高い合格率の背景にはカンニングなどの不正行為があるとかねてから言われてきた。
そこで政府が今年から不正行為を厳しく取り締まったところ合格者が一気に減ってしまったのである。
今年の試験当日の朝
プノンペン市内のコピー店で事前に流出した試験問題の正解が書かれた紙をコピーしている生徒たち。
スマートフォンで撮影。
また隠し持てるように小さく切る生徒もいる。
試験当日には毎年のように見られる光景だという。
カンニングなどの不正がここまで広がったのは7,8ほど前から。
給料が安く生活に困った教師らが金と引き換えに
試験の答えを生徒に教えるなど手助けするようになったことが背景にあると指摘されている。
そこでカンボジア政府は今年初めて全国で本格的な対策に乗り出した。
まず行ったのが試験会場での持ち物検査。
カンニングペーパーや携帯電話の持ち込みは一切禁止。
事前に厳しくチェックしていく。
没収品を集める袋はあっという間に一杯である。
さらに試験問題は厳重に管理。
内容が事前に漏れることを防ぐ。
試験場の監視も強化した。
3千人もの監視員を全国の会場に配置。
生徒から賄賂をもらった教師がカンニングに協力しているケースもあったためである。
不正行為の撲滅に全力を挙げたカンボジア政府。
しかしその結果皮肉にも多くの生徒が不合格となり追試が行われることになったのである。
プノンペン市内の高校に通うル・ペックさん。
カンニングに頼ろうとしたもののうまくいかずに不合格になった一人である。
生活を切り詰め学費を出してきた両親も心を痛めている。
(ペックさんの父親)
「息子は学校の成績はトップなのに試験に落ちるなんて本当にショックだ。」
心を入れ替え追試に望むことにしたペックさん。
(ル・ペックさん)
「もうしないよ絶対に。
100%自分で頑張ります。」
カンボジア政府は
優秀な人材を求めて進出してくる日本など外国企業の期待に応えるためにも
不正防止の対策を強化したいとしている。
(ハン・チュオン・ナロン教育青年スポーツ相)
「政府が教育に力を入れなければ海外からの投資家を引き付けられない。
この取り組みはこれからの若者のためになる。」
11月9日 編集手帳
その青い空の記憶は消えない。
初めて過ごした北京の秋。
ねじが緩んで 時折ペダルが落ちる自転車をこぎ、
人民服の群れに交じって陽光まぶしい街を走った。
四半世紀ほど前のことだ。
人々の服装がカラフルになり、
自転車が少なく なるにつれ、
空は白く濁っていった。
高度成長と環境破壊を並走させてしまった日本の過ちを繰り返していた。
社会の空気は、
明らかに「豊かさ第一」だった。
共産党政権が大気汚染対策に血眼になったのは、
国の威信をかけた2008年北京五輪の時だ。
ナンバーが偶数か奇数かで自動車の通行を制限した。
汚染物質をまきちらす工場の操業をやめさせた。
祭りの後、
汚染は再び加速する。
近年、
発がん性のある微小粒子状物質(PM2・5)を含む「濃霧」で覆われる日が多 く、
市民の不安は、
昔日の比ではない。
10日に北京で始まるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を前に、
党はまたも、
青空確保に躍起だ。
首脳一 同で高層ビル群に上ってみるのもいい。
運が良ければ、
名高い「北京秋天」を楽しめる。
水墨画のような景色なら、
中国の現実をひと目で理解できる。
11月7日 編集手帳
映画監督の川島雄三は桂小文治の前に手をつき、
述べたという。
「良い噺(はなし)家(か)を 一人ダメにします。
お許しください」
松竹映画『こんな私じゃなかったに』を撮るにあたり、
小文治の弟子で二ツ目の若手を映画界にスカウトしたときである。
高座と疎遠になった青年はやがて映画とテレビで売れっ子になる。
桂小金治さんである。
川島の言う「良い噺家」はお世辞でも誇張でもなかったらしい。
永 六輔さんはあるエッセーのなかで、
若き小金治さんの『大工調べ』を聴いて落語の魅力にとりつかれたと語っている。
将来を嘱望されていたのだろう。
落語家の頃は月収4000円だったのに、
2日間で5000円を稼いだ。
〈簡単に言うと、
金に目がくらんで、
僕は落語界を捨てたんですよ(笑)〉
(ちくま文庫『小沢 昭一がめぐる寄席の世界』)。
後年、
ほろ苦い笑いに紛らせて回想している。
小金治さんが88歳で亡くなった。
老境に入ってからは時折、
フリーの落語家として江戸前の小粋な語りで噺を聞かせた。
傘寿の独演会も催している。
寄席の高座に残した若き日の、
“忘れ物”を探していたのかも知れない。
11月6日 キャッチ!
アンと二・ガウディの傑作 サグラダファミリアも
ヨーロッパ屈指に名門サッカークラブ FCバルセロナも
スペインの宝でなくなる日が来るかもしれない。
スコットランドに続き独立の賛否を問う住民投票を実施するスペイン北東部のカタルーニャ州。
今年9月の“カタルーニャの日”には独立を求めるデモに180万人が結集した。
運動を率いるカタルーニャ州のマス首相は住民投票に関する州の政令に署名し
今月9日の実施を決定。
(カタルーニャ州 マス首相)
「この政令ですべてのカタルーニャの人々が祖国の未来に意見できるようになる。」
しかしこの決定に中央政府は猛反発。
(スペイン ラホイ首相)
「地方や州が主権を持つことなどありえない。
今の憲法下ではそれを要求することも認めることも不可能だ。」
政府は憲法裁判所に提訴し住民投票は一時差し止めに。
しかしマス首相は法的拘束力のない「非公式」投票を予定通り実施する構えである。
なぜ今カタルーニャで分離独立の機運がここまで高まっているのか。
人口750万人のカタルーニャ自治州。
バルセロナの観光名所である旧市街の一角に住民投票への参加を呼びかけるテントが出来た。
“11月9日 独立に賛成 投票しよう”
独立支持派のグループによると州内約1200の投票所を設置し
立ち合いや開票作業のために約4万人のボランティアが集まったということである。
(独立支持派)
「過去の調査で賛成が多数でしたし州議会も独立派が多数を占めています。
勝利するのは明らかです。」
非公式な投票とはいえバルセロナ市も事実上 投票を後押ししている。
改築中のビルで市当局の許可を得た巨大な広告に書かれた文字は
“市民の意見に耳を傾ける国”。
中央政府はこうした動きに神経をとがらせている。
“いかなる形であれ州のレベルで独立を問うのは憲法違反”
として2度にわたって憲法裁判所に訴え断固阻止する構えである。
(スペイン ラホイ首相)
「民主主義のルールも中立性も保たれていない。
この投票の結果は緊張しか生み出さない。」
国のGDPの約20%を占める経済規模と
独自の言語や文化を持つカタルーニャ州の住民はもともと独立意識が高かったことに加え
ラホイ政権のこうした姿勢を抑圧的だと感じて反発を強めている。
「独立に賛成。
以前は違ったがラホイ政権になって独立支持になった。」
「独立でもなく国にとどまるのでもなく連邦制などの別の形になるべきだ。
とにかく今のままではダメだ。」
連邦裁判所は今月4日 2度目の投票差し止めを命じたが
州政府は予定通り実施する考えを示し
中央政府との対立を深めている。
投票がどのような形で行われるのか
また中央政府がどう対応するのか
不透明な状況のなかで9日を迎えようとしている。
10月28日 キャッチ!
中国ではいま不動産業界の停滞が続いている。
9月の新築住宅の価格は70都市のうち69で前月比で下落。
不動産投資の前年比も月を追うごとに伸びが鈍ってきている。
不動産市場の冷え込みの影響は様々な面にでてきている。
北京市内の建設関連の卸売市場では鋼材などの建材を主に取り扱っているが
市場の販売業者からは足もとのは販売不振の厳しさを訴える声が聞かれた。
(鋼材卸売業者)
「市場停滞の影響はあります。
赤字覚悟で売っています。」
「7月以降商売にならない。
隣の業者は閉店したよ。」
マンションや戸建て住宅用の鋼材を取り扱う卸会社が扱う鋼材は1年で15%余値下がりした。
建設需要の弱まりから鋼材はいま買い手市場になっていて在庫を値下げせざるを得ない状況だという。
鉄鋼業界では需要の弱さが当面続くと見ていて
経営者の趙澤銘さんは取引量の減少と価格下落のダブルパンチに頭を痛めている。
(超澤銘さん)
「去年より約3割売り上げが落ちた。
長引くなら対策が必要です。」
不動産市場の冷え込みは高額品の販売にも影を落としている。
世界最大となっている中国の自動車市場では販売の伸び率の前年比が今年3月以降10%を割り込む状況が続き
9月は2,4%増にとどまって今年に入り最低を更新した。
中国で日本勢として自動車販売トップの日産自動車は10月 大連に新工場を稼働させた。
ただ足元の販売は苦戦し今年9か月間の販売台数は年間目標の半分に届かなかった。
得意の小型車が振るわず年末商戦に向け販売戦略の練り直しを急いでいる。
(日産自動車 関潤専務執行役員)
「乗用車は思っていた販売スピードよりはかなり鈍化している。
不動産が落ちてきたり金融も落ちて全体的なスローダウンは多少ある。」
不動産は中国経済のけん引役である。
不動産市場が冷え込むと生産や消費への影響だけでなく
企業業績が悪化して銀行の不良債権が増加したり
土地の使用権を売って財源に充てる地方政府の財政悪化を招きかねない。
政府は不動産価格の下落は一時的だという姿勢を崩してはいないが
一方で住宅ローンの融資条件の緩和を銀行に流す通知を9月末に出したほか
地方都市を中心に1世帯で購入できる住宅を2軒までにするというこれまでの制限を解除する動きを広げ
販売の下支え策を次々に打ち出している。
中国政府が掲げる今年の経済成長率の目標は7,5%程度となっているが
市場では7,5%をやや下回る可能性が高いという見方が広がっている。
それでも政府は経済の安定に自信を示している。
根拠は雇用にある。
(李克強首相)
「中国で言う“発展”とは雇用と所得が増加する発展である。
堅実な成長は雇用維持のためであり
景気の安定には十分な雇用が必要だ。」
政府は年間の新規雇用目標の1千万人を達成したと発表した。
そのけん引役となっているのがサービス業である。
その中でも政府が雇用の受け皿として期待を寄せるのが看護事業である。
上海市内の老人ホーム。
日系企業の合弁会社が去年12月に開業した。
中国ではまだあまり見られない認知症など要介護者の受け入れ態勢も整い60人余が入居している。
施設では現在51人の中国人が働いている。
ヘルパーの朱乃雲さんは開業当初からこの施設で働いている。
朱さんは息子の学費を稼ぐため300キロあまり離れた町から出稼ぎで来た。
施設で働くヘルパーの多くが上海郊外から仕事を求めて来る50歳前後の女性で貴重な働き口となっている。
(主乃雲さん)
「施設がもっと繁栄してお年寄りがどんどん増えてここでずっと働ければいいと思います。」
中国ではいま高齢化が急速に進み
60歳以上が人口に占める割合は2030年までの20年間で2倍の24%に達するという推計もある。
こうした状況を受け施設では今後の入所者の増加を見込んでさらに50人以上の採用を計画している。
(上海礼愛頤養院 玉置哲馬さん)
「中国では女性の場合は50歳で定年退職となるので
そういう方たちの再就職の場として集まっていただいている。」
家族が面倒を見る伝統的な介護のありかたが限界を迎えつつあるなか介護分野は今後さらに拡大すると専門家は指摘する。
(みずほ銀行 主任研究員 細川美穂子さん)
「一人っ子政策は緩和方向にあるが今働いている世代は都市部では一人っ子で
親の世話をするという余力がない中では介護ビジネスの拡大が期待される。」
政府は重点的に発展させるサービス業として介護以外に医療・健康・観光・文化などをあげている。
従来型の製造業は人件費などのコストや人民元の上昇で競争力を失いつつある中
サービス業が製材成長に占める役目は年々増していて
第3事案行がGDPに占める割合は初めて第2次産業を超えてその傾向はますます強まっている。
中国は構造改革という名のもとに不動産投資や輸出に頼る成長から
雇用と所得に基づく消費主導の成長に向けて舵を切り始めている。
とはいえ改革には時間がかかるので
不動産価格の下落が長引けば改革の成果が出る前に経済が急減速する懸念もある。
中国政府が狙い通り構造改革と安定成長を追い求めていけるのか
足もとの景気動向を見ながら難しいかじ取りを続けていくことになる。