8月14日 読売新聞「編集手帳」
俳句歳時記をながめていると、
時々、
おやっと思うものがある。
スイカや朝顔が「秋」の項に入っていたり、
かと思えば、スイカ割りが「夏」になっていたり。
そもそも歳時記は旧暦を用いた江戸時代に始まるため、
今の暦にかさねれば、
やや時期がずれることがあるらしい。
そうした伝統的な季語に現代語も加わって、
手元の歳時記はかなり分厚い。
「冬」の項を引くと、
そこに「ラグビー」がある。
学生、
社会人の王者を決める試合が冬の風物詩となるためだろう。
季節感を一変させる華やぎを期待したい。
9月20日に開幕するワールドカップ日本大会である。
この頃、
日本代表の活躍がめざましい。
先週フィジーの国際大会で米国などに3連勝し優勝した。
勝ちっぷりが変わってきた。
世界ランキングは11位から9位に上がり、
1次リーグを突破し決勝トーナメントの8か国に入ることが現実味を帯びてきている。
この勢いのまま、
僅差で8強を逃した前回大会の雪辱を果たしてほしいものである。
<ラグビーのジャケツちぎれて闘へる>山口誓子。
冬の枯れ芝ではない。
緑深い初秋の芝の上に彼らは格闘する。