箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

ブレない軸をもつこと

2015年10月18日 17時30分52秒 | 教育・子育てあれこれ
自立とはなんでしょうか。経済的に独立していることでしょうか。たしかにそれは一面で自立の意味を表しています。しかし教育や子育てにおいてめざす自立について、わたしは次のように考えています。

なんでも自分一人でものごとをやること、できることではありません。自立とは精神的に人に「もたれかかる」ことなく、自分のことは自分でやり、必要なときには周りの人に「助けて」と援助を求め、それを素直に受け入れることができることではないかと考えています。

さらに付け加えれば、自立にはものごとに対して正面からむきあう力が求められます。

自立している人は、ものごとに対する価値観や自分が引く線引きが定まっていて、軸のブレがありません。何か困ったことに直面しても、自分で考え、「こうしよう」と決めて行動に移せます。

このことはなかなか実行できないこともあるのですが、自立の本質はここにあると思います。軸が定まっていれば、人は周りの評判やウワサ話に惑わされることはないからです。

ですから大人が子どもに求める自立とは、ある意味、自分というものを確固としてもった人になってほしいという願いが込められているともいえます。思春期の完成は自己の確立といわれるゆえんはここにあるのです。

しかし子どもに自立を求めるのなら、同時におとな自身も自立ている必要があります。前のブログでも書きましたが、いまという時代、わたしたちはさまざまな情報という流れの川で泳いでいるようなものです。そして情報に惑わされ一喜一憂します。

たとえば早期教育を重視する教育雑誌やテレビ報道は「英語は3歳から学ばせましょう」、「グローバル時代を生きる力は英語力です」と親の感情を煽ります。また進学塾についても「あの塾はいいそうよ」という評判が流れます。

そして情報は日々新しくなります。でも私たちはどれほど情報を見極め、自分や自分の子どもにとって必要かを考えているでしょうか。情報に惑わされ、意見や発言が変わるおとなに対して、子どもの軸はぶれてしまいます。

情報に振り回される必要はありません。親として「自分の子どもにとって、ほんとうの幸せとは何か」を考え、軸をぶらすことなく必要なものだけを選んでいけばいいのではないでしょうか。

「人として、これだけは大切なこと」、「人として、このことだけはしてはならない」という価値観をおとな自身が確立していることが、おとなの自立であり、このようなおとなのもとで子どもは安心感をもち、揺れる思春期を悩みながらもくぐり抜け、自己の確立に向かっていけるのです。