秋深き 隣は何を するひとぞ (松尾芭蕉)
いまの時代なら、のぞきと揶揄されたり、プライバシーの侵害だと、非難されそうなこの俳句。
しかし、この句が詠まれた背景は、次の通り。
元禄時代のある秋の日、芭蕉は句会に誘われた。
しかし、体調不良で出席できず、この俳句だけを送ったらしい。
旅の途中で、病気になり、孤独感をもちながらも、人への想いに溢れていたのかもしれない。
秋が深まり、どの家も静まりかえっているが、 人それぞれにつつましく、懸命に生きている。
私は、人へ想いを馳せるこの句に心の底からの共感を覚える。