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私の家では以前、水田をつくってコメを生産していました。私が幼い頃の稲作は機械が入る前のやり方でした。梅雨の頃には苗を手で一本ずつ植え、秋の稲刈りの時期には稲刈り鎌(かま)で、一束ずつ刈り取るという手作業をしていました。
それこそ、家族だけでなく近所の人が総出で働きました。そしてこのような仕事には小学生の低学年であった私も駆り出されることがごくふつうでした。
ちなみに高学年になると、ようやく耕耘機や稲刈り機を購入し、作業は飛躍的に速くなりました。そのあとには田植え機も導入して、労働力は大幅に軽減されたのでした。
機械が導入される前のコメづくりの時代に、私も田植えを手伝ったり、稲刈りを手伝ったりしました。手伝うといっても、みんなが手際よく作業をしているのでしたから、子どもでも失敗はあまり許されませんでした。教えてもらった苗の植え方や稲の刈り方を何度も繰り返し、あとで私のやった分のやり直しが必要でないように、私なりに手伝ったつもりです。
この手伝いは自分から望んでやっていたわけではありません。しかし、子ども心で少しでも忙しい家族の助けになればいいと思ったことは覚えています。そして、作業が終わるとおばちゃんから、「ありがとう」という心からのひとことがよくありました。
この「ありがとう」は時代がどのように変わろうとも、次の世代に受け継がれます。あなたがもしあなたの子どもに、こころから「ありがとう」と言うことができるのなら、あなたの子どもはあなたの孫に素直に「ありがとう」と言えるようになるのです。
私たちはだれでも、潜在的にだれかの役に立ちたいという願いを内にもっています。マザー・テレサのように、その願いに突き動かされ、自分の一生を他者のためにつかった人もいます。
私はみんながマザー・テレサになるべきといっているのではありません。だが「人の役に立つ喜び」はだれでも感じることができると思うのです。
ここで大切なのは「ありがとう」というように感謝の気持ちを正直に伝えることだと思います。「本当に助かったわ」「うれしいわ」という言葉でもいいでしょう。ただし「いい子や」「えらいな」という言葉はここでは当てはまらないでしょう。
一方的に相手を評価したり、ほめたりするのではなく「あなたのおかげで(わたしが)助かった」と率直に伝えるべきでしょう。(いわゆるわたしメッセージで→10月14日のブログ参照)
子どもの行動の動機づけに「ほめること」を使う親は、ほめられて行動する種を植えています。この種を植えられた子は、ほめられて動くようになります。反対に言えばほめられないと動かなくなります。
本当のやる気とは子どもの内から湧いて出てくるものです。そして、そのやる気を引き出すのは、自分の中に内在させている「人の役に立つ喜び」(=貢献感)です。
この喜びを知った子どもは、見返りなどを求めず、人の役に立ちたいという一心で行動を起こすのです。人に対してやさしくなり、人の役に立ちたいと願うようになるのです。
いまや日本社会は成熟社会に入ったといわれています。震災復興に向けたボランティアをはじめとして、人の役に立つ喜びでつながる人間関係が今後もっともっと必要になってくるでしょう。
まず、子どもたちに心から「ありがとう」の言葉を伝えていくことから始めましょう。