箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

好きだからこそできる

2020年09月07日 08時13分00秒 | 教育・子育てあれこれ


私が、多くの中学生と出会った経験から思うことですが、子どもにはいろいろな子がいて、けっこう何でもよくできるというか、要領がいいというか、チャッチャッとできてしまう子がいます。

そういう子はおそらく、小さい時からよく学習に取り組み、「こうなりたい」という目標に向かい努力を重ねてきて、そのことをいとわない子であると言えます。

こうして育ってきた子は、大人にすれば手がかからない子です。

だから、ほめようとすれば、たくさんほめることができます。

ただし、こういう子にはほめすぎは控えるべきです。とくにそういう子が中学生になった頃には気をつけなければなりません。

なぜなら、ほめつづけられると、大人からの評価を気にするようになるからです。

思春期になると、子どもは自分がどんな人間かを見つめる傾向が強くなります。

今までにも「よくできる子」として周囲が認めてきたという経験をもっています。

ですから、知らず知らずのうちに、「わたしはまわりからできる子とみなされている」という自己概念(自分がこういう人間だというイメージ)をもっています。

とくに親が喜ぶかどうかは気になります。親の期待を一身に背負い、親の希望に沿うかどうかで、自分の高校進学を考える場合もあります。

しかし、進路を考えるときには、自分がしたいこと、進みたい道に進むのがいちばんです。

親にすれば、「そんなに強く子どもに求めてはいない』と言われます。

たしかに「ぜったい○○高校の○○科に行きなさい」など言っていません。

しかし、「なんでもよくできてきた子」からすれば、育ってきた過程の中で、人の期待に応えることの価値を何よりも強く感じるのです。

じっさい、そのような生徒に出会いました。

その子は中学1・2年生のうちは成績がよく、一生懸命学習に努力する生徒でした。

周りからも「よくできる子」と思われていました。高校も大阪府立のいわゆる進学校を目指していました。

しかし、3年生になり成績が停滞し始めました。

ほかの子が学習をさぼっていたというわけではないのですが、みんなが3年生になり高校進学を真剣に意識しだすと成績を上げてきます。

そのなかで、その子は相対的に自分自身を見るようになり、少しずつ自信をなくしていったのでした。

心が大きく動揺し、身体面にも不安が現れるようになりました。

担任が支え、その子は志望校を変え、私立高校に進学できました。

生徒が自分のやりたいこと、めざしたいことを高校選びの第一の基準にするのがいいと、私は思います。

進路は厚い雲に覆われていたり、雨が降っていて、めざす星は隠れていることもあります。

でもあきらめなければ必ず道は開けます。

努力はつらいものではありません。好きだからこそできるのです。


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