私の中学時代はラジオの深夜放送を聞くのが流行りでした。
若い人がヤングタウンやオールナイトニッポンなどを聞きました。
当時は、明石家さんまや桂三枝、笑福亭鶴光さんたちがパーソナリティを務めていて、10代の人たちに人気がありました。
その後、聞くコンテンツは多様化して、若い人がラジオを聞くのは減ってしまい、ラジオ離れが進んで、現在に至っています。
ところが、ラジオが若い人たちの間で、今ジワジワと人気を得ています。
コロナ禍で家にいる時間の過ごし方として、ラジオを聞くリスナーが増えているのです。
また、パーソナリティに人気俳優やアーティストを起用しているので、コアなファンを番組にひきつけます。
実際に聞いてみると、若い人が「ラジオネーム」を語り、放送にコメントを寄せ、出演者が答えたりするコミュニケーションが実現できています。
ラジオ放送を通して、リスナーとパーソナリティがつながっているのです。
ラジオの強みは生放送だということです。
深夜放送は、リスナーが寂しさを感じるときに聞くと、その寂しさを癒してくれます。
じつは、顔を見ずに声だけを聴いている方が、その人の人格や人間性がよくわかります。
それは、パーソナリティ(話し手)が複数で会話する番組の場合、相手が言ったことに、どういうリアクションをするかでわかるのです。
また、話し手が一人の場合でも、話す間の取り方や雰囲気で、「その人らしさ」が伝わってきます。
その人のあらたな魅力を知ることができます。
映像といっしょに話していた人に、「へー、こんなユーモアがある人なんだ」と、その人の別の面が見えてきて、新鮮に感じます。
私たちは、いかに表情で人を判断しているかにあらためて気づくのです。
そういえば、メーラビアンの法則というのがあり、「人は視覚情報(見た目)だけで、相手がどんな人かを70パーセントほど判断する」という傾向を思い出します。
そう考えれば、ラジオは人間をリアルに知るコンテンツとして、今も健在だと思うのです。
今の中学生は多くの子がスマホをもっているのですが、ラジオも人間を知るという点でもっと聞けばいいと思います。
今はスマホでも、YouTubeなどで静止画とともにラジオ番組の録音を流しているので、生放送ではないですが、ラジオの世界をリアルに体験できます。