わたしは子どもの頃、本屋に入る時にはワクワク感がありました。
そのころ、住んでいる地域には本屋がなく、駅前の駄菓子屋さんに雑誌や漫画を置いている程度でした。
川西能勢口(川西市)や池田駅近くの商店街に本屋があり、いろいろな本を手に取ることができました。
小学校高学年になると、家から梅田の旭屋書店や紀伊国屋書店に連れて行ってもらい、置いてある本の多さに圧倒されたのを覚えています。
さて、 時は流れて、1990年代の終わりごろには、全国に23000店ほどの書店がありました。
このころは、出版業界や書店には活気がありました。
それが約20年後の2018年には、およそ12000店ほどになりました。半減してしまいました。
いま、書店がない地方自治体は全国に430ほどあります。
つまり、世の中には、本を買いたくても買えない人がいることになっています。
「インターネット通販があるからいいのじゃない」「電子書籍もあるしね」。
こう言う人もいるでしょう。
しかし、本屋に入り、じっさいに本を手に取って読むことができない子どもがいるのです。
本は「知」への入り口です。このままでは、未来の読者は育ちません。
大阪府箕面市の小中学生への調査では、学年が上がるほど一人あたりの読書量が減っているとわかります。
受験が近づき、読む時間がないという事情もあるようです。
わたしは、太宰治の『走れメロス』を読んだときのことを思い出します。
すがるように活字を追い、友だちのことを思うメロスの心の葛藤を自分の思春期の想いと重ねて考えていました。
「これが正しいと」か「あなたはこうするべきだ」という教えはなかったですが、「人生とはなにか」を考えるきっかけにはなりました。
「活字が体の中に入っていく」という感覚は、電子書籍では味わえないのです。
「買う」、「買わない」とは別に、実際に手にとるという感覚は通販では経験できないと思います。
ぜひ、小中学生のみなさんは、本を手に取ってページをめくってください。そして、「これだ」という本を見つけ、じっくりと読んでみてください。
(次回に続く)
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