将来のためには、子どもはこれを身につけなければならない。
子どもの成長のためには、いまはこうしなければならない。
このような信念や強い思いがあるからこそ、子どもに向き合うエネルギーが湧いてきます。
そして、子どもが直面している壁を乗り越えたときに、それを本人の自信に返していくことが大切です。
ふつう、子どもの気持ちを受け、それに寄り添いサポートしていくことが教師には望まれます。
そのときには、教師はその段階での子どもの願いに沿うような支えをします。
でも子どもの将来や子どもの成長のためには、寄り添うというより、あえて一歩高みの段階へ引き上げたり、一歩高い目標をねらわせたりすることも、その教師に確固たる信念があるからこそできることです。
自分の経験ですが、以前、1・2年生では、ほとんど登校できなかった生徒がいました。
3年生から登校するようになりました。
その生徒に対して、青少年弁論大会に出るようにすすめました。
その誘いかけに、最初、その生徒は迷っていました。
学校にくるだけでも精一杯である生徒に、一人でたくさんの人の前で弁論させるのは、生徒の気持ちに寄り添うなら、そっと見守り、極度な緊張感に出会わせることは避けるのがふつうでしょう。
しかし、自分の不登校だった過去を弁論することで、その子に自信をつけることができる。
その信念でその生徒にかかわりました。
その生徒は、出場を決め、練習を重ね、当日立派に自分の歴史を振り返り、将来に向けた展望を、弁論で語ることができました。
臨床心理士をめざし、大学は心理学を選びました。
そういった教師のかかわりは、サポートするというよりは「導く」という言葉がピッタリとくると思います。
これを乗り越えたら本人の自信になる。そして意欲を自分で出すことができるはず。
この熱い思いがその教師を裏打ちしているのです。
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