箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

新型コロナウイルスが照らし出したグローバリズムの課題

2020年06月27日 07時30分00秒 | エッセイ
グローバル化は、今回のコロナウイルス感染症の世界的な流行で、その負の側面を照らし出しました。

まず、人が国境をこえて動くことで、コロナウイルスが、国と国をこえて持ち込まれ、世界的な感染拡大につながりました。

もう一つは物流です。日本では少し前までは、ものづくりの品質の高さを売りにしていました。

自動車は性能が良く、コンパクトで燃費がよく、省エネでありながら、高いパフォーマンスをもち、世界でのニーズが高まり、それが日米貿易摩擦に発展したのが、1980年ごろでした。

ソニーがウォークマンを売り出すと、その発想と商品コンセプトは、世界で支持されました。

このように、日本経済は国際競争力の高い製品を作り、発展してきました。

もちろん、今でも、日本製の製品の品質には定評があります。

しかし、その後中国や東南アジア諸国が、科学技術を発展させてきて、すぐれた製品を製造するようになり、日本製品の優位性が薄れてきました。

そこにグローバル化の流れが重なり、日本企業は利益を上げるため、賃金の安い国に生産の拠点を移してきました。

このようにして、日本の製造業は「空洞化」していきました。

今回、マスクや医療ガウンが手に入らなくなったのは、国外でほとんどを製造していたからです。

その国が供給をストップすれば、日本国内では品薄になるのです。

この方法は、短期的に見れば利益は上がるでしょうが、長期的に見れば10年後、20年後には、自国の製品供給網は弱くなります。

安いからという理由で、主軸となる製品の生産や部品組み立てを外注すると、自社で作らないとわからない技術も失っていきます。

いまや、利潤の追求だけが企業の使命ではないのです。

国民の健康と安全に必要不可欠な食品、医療機器、葉を電子機器など、それに関連する資材などは、他国に依存せず開発して、製造して、調達しなければ先ゆかなくなるでしょう。

JAPAN AS NO.1と言われていた時代は、私が就職した頃でした。

それにあぐらをかいている間に、世界情勢は大きく変わり、IT業界は遅れをとり、日本経済はいまや閉塞状態にあります。

その中で、いまの子どもたちがどんな将来を展望して、未来の夢や目標を描くかとなると、学校教育の課題につながっていきます。

私は、もっと人が一人ひとり尊重され、人同士がつながりあい、生きていく。

しかし、日本国内だけの「内向き思考」ではダメで、多様性を認め、共に地球市民が生きていく方向性の中に、日本社会の未来があると思います。

もう、後戻りはできません。



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