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わたしが教員として中学校に勤務し始めたのは、全国に吹き荒れた中学校の校内暴力のピークを過ぎるころでした。
思春期の中学生のパワーはたくましく、大人と強い信頼関係つながる子もいましたが、一方で大人に反抗したり、とんがった行動をする生徒も多くいました。
問題行動や非行は、生徒のエネルギーが外に向いて出ていたのでした。
しかし、今の時代では生徒のエネルギーが内に向かう傾向があります。
やんちゃな子が少なくなり、バイクに乗ったり、学校で喫煙をする生徒、暴力に訴える生徒はめっきりと少なくなりました。
その一方で、不登校やいじめの問題が深刻化しています。
わたしは、その状態をエネルギーが「内側に向いている」という表現しています。
現在の生徒は、いわゆる「やさしい子」が多くなりました。
しかし、今の中学生の親がかつて中学生だった時代と比較すると、複雑で変化が大きい時代になっています。
その点では、親世代の中学生時代より、たいへんな状況の中を生きていると言っていいでしょう。
悩んだり、苦しんだりする子が多くいます。
その分、自らのいのちを絶つ子もふえています。
そこにいたるまでに、子どもはなんらかの「助けて」というメッセージ、つまりSOSを出しているはずです。
ただ、そのSOSは子どもが訴える学校生活や日常生活での困りごとの中にあるのです。
大人には、そのSOSをキャッチする感覚や感性が求められるという難しさがあるのです。
友だちとうまくいかないとか、親とけんかしたとか、成績が伸びないなどの困りごとの中に、SOSが隠れているのです。
「なんだ、そんなことか」「きみよりたいへんな子はもっといるよ」とかえすのは、悩む子の心には届きません。その子が抱える生きづらさを理解できないのです。子どもが「わかってくれた」という思いになれません。
おとなは、口をはさまず、子どもの声をひたすら聴くことに徹するのです。
聴いた上で、「わたしにできることがあるかな?」と尋ねてほしい。
大人の態度が、子どもにとってとても大きいのです。
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