箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

しなやかな強さ

2021年01月19日 08時22分00秒 | 教育・子育てあれこれ


校長在任中の2016年に、全国中学校校長会研究大会が宮城県であり、私も出席しました。

その研究大会の最終日に、俳優・歌手の中村雅俊さんの講演を聞く機会がありました。

彼は宮城県女川町の生まれです。

自分が俳優になった頃の話をされていました。

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大学生のとき、英語劇(ESS部、じつは私も大学のころESSに入っていました)を通じて知り合った奈良橋陽子さん(キャスティングディレクター)が言った言葉が、生涯忘れられない言葉になりました。

You have something.」(あなたは何かをもっている)

当時、彼にはsomethingの中身が何であるかはわからなかったそうです。でも、その言葉が支えになり、文学座の研究生の試験を受け、俳優の道を歩き出したそうです。

デビュー曲が「ふれあい」(1974年)で大ヒットしました。のちに映画にもなりました。

その歌詞に「人はみな一人では生きていけないものだから」という一節があります。

その後、故郷の女川町は2011年の東北大地震の津波で壊滅的な被害を受けました。

故郷の復興を願って活動する中村雅俊さんは、この歌詞の一節を胸に秘めているそうです。

講演では、次の話もされていました。

「この俳優という仕事では、自分一人で勝手なことは何もできません。たとえば、「大河ドラマの主役をやるぞ!」と一人叫んでみたところで、依頼がないとできないのです。

私は幸い、役者だけでなく歌手もできています。自分がいま生きている道のりをたどれば、そこに文学座がありました。

そこで杉村春子さんが言っていました。女優は文学座に入ると、『女の一生』をやることになりますが、杉村さんもやりました。

その劇では、どん底に落ちる場面があります。そこでの杉村さんのセリフがすごかった。

誰かが選んで歩き出した道ではない。自分が選んで歩き出した道なので、間違いと知ったら間違いでないようにしなければ」。

人生は、いつも選択の連続ではないでしょうか。
そのとき、そのときにpriority(優先順位)があるので選択するのです。
AかBのどちらかを選ぶ。Aを選んだ人は、途中で障害、挫折にあいます。そのとき、Bの方がよかったと思います。

しかし、Aが間違いだったとしても、間違いでない道にしなければならないのです。こういうことの繰り返しで生きていけばいいのでないかと、私も思うのです。
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こんな内容の講演を聴かせてもらったのを、いま思い出します。

わたしは、人が失敗や挫折に出会っても、屈しない精神力を思います。

これが今でいうレジリエンス、つまりしなやかな強さなのだと思います。


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