中学校で進路指導をするとき、今でこそ学科は多様化し、普通科以外の様々な学科がありますが、普通科に進学する生徒がほとんどだった頃の話です。
美術が好きな生徒で、絵を描くそれ相当の力をもった女子生徒でした。
その生徒は中3で高校進学を考えるとき、美術科を専門にしている高校への進学を希望していました。
「わたしは絵を描くのが好きなので、美術科のある高校へ行きたいです」。
ただ、当時は、高校は(言葉は適切でないでしょうが)「とりあえず」普通科へ行って、高卒後大学で美術の学科を選ぶか、専門学校へ進学するのが一般的でした。
保護者の方も、それを望んでいました。
わたしが、本人に伝えたことは次のことでした。
「自分がいいと思うことをやったらいいと思うよ。
ただ、それはけっこうしんどいかもしれんよ。
だって、なにが起きても、人のせいにはできへんから。」
わたしはそのことを伝えて、本人がよく考えたらいいと思いました。
「どうしても高校で美術をしたい」。熱意や意欲は大切ですが、そのようにだけ強く思っているときには、なかなか幅広く、さまざまな角度からは考えられないものです。
彼女の意志と夢を応援しながらも、他の生徒とちがう学習をしていくことの難しさを理解してもらいたくて、伝えた言葉です。
結果的に、その子は高校は普通科に進学しました。その後大学は芸術大学に進んだと聞きました。
高校進学時に美術科へ進むのも一つです。ただそのときには、自分の意志を貫く覚悟と責任をもっていなければなりません。
中学生への進路指導は、教師がたんに高校進学をさせるだけでなく、本人に自分の人生について深く考えるようにサポートすることだと思います。
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