亀井三千代 HP/Michiyo Kamei official web site
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雨の日に
マンションのエントランスですべって転倒
足をすくわれて
一気に仰向けに なすすべもなく、
そして後頭部をコンクリの階段に強打した。
終わった、とその瞬間は思った。
だって「がつん」 って骨の音が
頭の中でしたから。
意識はあったので
とりあえずゆっくり部屋に上がり
救急車を呼んだ
中で出血していたら最悪
救急車はすぐに来た
腫れ物をさわるように
大切に大切に病院に運んでくれた。
以前、テレビで
共に転倒した二人が入れ替わる、というドラマが
あったように思う。
転倒の瞬間
日常の時間経過が途切れる瞬間
つい20分前までは
まさか自分が救急車に乗っているとは
思ってもいなかった。
そんな裂け目のような転倒が
例えば、入れ替えといった物語を生むのは
合点がいく。
救急車で運ばれながら
私も自分が変われたら、と思った。
この転倒によって
何かが変わってくれないか…
頭部のMRI、
胸部、前腕、頸部のX線検査の結果は
全て異常なしだった。
それどころか、骨はとても美しかった
久しぶりに自分に出会えたような感じがした。
私は普段から、
自分が亀井三千代だということに
違和感がある。
ものごころついてから
ずっと変な感じのまま きてしまっている。
だから、骨を見たとき
亀井三千代とは無縁の、生物としてのその形に
むしろこれが私なのだと
私はここにいたのだと強く感じて
たまらなくなった。
涙が出た。
ところで、
この話をすると
何故かみんな、笑うんだよね
それどころか
「おまえ頭打って、おかしくなったんじゃないの?」って(笑)