Michiyo Kamei "Shape of life"いのちのかたち  

画家 亀井三千代 記
「身体曼荼羅」春画と解剖図
michiyokamei diary

神社で目が回る

2010年08月02日 12時11分33秒 | 旅行

家族で旅行に出た。

出羽三山をめぐる。

出羽三山とは、山形県の信仰の山、
羽黒山・月山・湯殿山の3つを合わせた呼び名だ。

それぞれ、現世・死・来世(復活)を表すのだそうだ。

初日に羽黒山、山麓の宿に泊まる。
朝4時頃、ヒグラシの大合唱で目が覚めた。
朝もやでかすかに白んだ空、まだ黒い森の中から
その鳴き声が霧のように聞こえてくる。

どんなに、大合唱でも決してうるさいわけではない。
何かとても懐かしい声。

ヒグラシ達にすっかり呼ばれて、散歩に出ることにした。
いてもたってもいられなかった。

少し歩くと、すぐに神社に出てしまった。
赤い鳥居にうっそうと木々が被さって、
そこが入口なのだとやっとわかる。
奥がよく見えないが道は確かに続いている。

森の中、まだ薄暗く怖かったが
お参りせずに通り過ぎるのは、無視するみたいでもっと怖かった。
出会った以上はお参りせねば・・・
とりあえず、境内に入りることにした。

右側には、かたちの違う数個の石がまつられていて、
中央にはとても小さなほこらが一つあった。
ほこらの扉はしまっていたのでお賽銭箱がない。
どうしよう。。。
ヒグラシの声にすっぽり包まれて
距離感がとれなくなっていた。
怖くて、その空間が自分を中心にぐるぐる回って感じられた。

目が回る。

やっと神社から出て、道を変えて散歩を続ける。
黒々とした森にかこまれた静かな里。
少しずつ明るくなりやがてわかったのだが
森の中には無数のお墓が点在していた。
どの森にもそれはあった。

それこそ小さなほこらやお地蔵様は、歩けば当るくらいたくさんある。
なんて土地なんだろう。
周辺の山、森や木々のすべてが信仰の対象で、
しかも死者とともに生活しているようにも思えた。

その価値観の違いをかみしめる。

でも、やはり…どこか懐かしさを覚えた。

 



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