浅田真央選手に続き、村上佳菜子選手も引退を発表しました。
世界ジュニア女王になったことがつい先日のようで、そんな歳月が経っていたのかと思わされます。
ジュニア女王になった際はエレガントな表現力とチャーミングな笑顔が印象的だった村上選手。それまでの日本女子のトップスケーターとはまた違った印象で、こういう子が日本代表になってくれたら、楽しいだろうなぁ、と期待させる存在でした。
直後のシニアデビューでは「Jumpi’n Jack」で鮮烈なシニアデビュー。FSのマスク・オブ・ゾロの音楽も見事に解釈し、世界の壁を叩きました。
その後、成長期とともにジャンプの回転不足に悩まされますが、ソチ五輪代表に。
しかし、何より特筆すべきは彼女の競技プログラムでのオペラ座の怪人のSP。競技プログラムに技術だけでなく、音楽の解釈、大人の女性のエレガントさを兼ね備えたプログラムで、「かわいいかなこちゃん」からレディスケーターへの成長を知らしめました。こういうプログラムを日本人が完成させて演じてくれたことが本当に嬉しかった。
フィギュアスケーターには自分自身の証しとする基準がいろいろとあります。記録、ジャンプの難易度、スケーティング、総合力、芸術性などなど。村上選手は最後の芸術性に当たるタイプのスケーターだと思う。彼女はこの「芸術性」でいくつかの金字塔を打ち立てた女子フィギュアスケーターの一人だと思う。
長い間、お疲れ様でした。これからはプロの世界で芸術性の華をさらに咲かせてほしい。