CubとSRと

ただの日記

シナ

2020年11月06日 | 重箱の隅
 わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 5582号
     2020(令和2年)年 11月2日(月)から

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なぜ日本では「中国」という呼称
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           和田憲治

▼なぜ日本では「中国」という呼称・表現を(わざわざ)使うのか?

 本来、「支那」と呼ぶべき地域・エリアのことを日本ではなぜそう呼称せずにわざわざ「中国」とするのか?
「中国」とは「中華人民共和国」の略称であって、地域的概念としての名称は「支那(シナ)」です。

 これは、第二次大戦時に、日本が米国に敗北したことに伴ってある意味、棚ぼたで勝利した、中華民国の蒋介石が日本に対して、「支那」と呼ばず「中華民国」または、略称を「中国」と呼ぶよう要求し、それをそのまま日本側が飲んでしまった結果です。ここから「中国」呼称のネジレが始まりました。

 「ちょっと言ってみたら、俺の言うこと丸呑みしてくれたよ、バカじゃねーの、日本!チョロいな!(笑)」と、蒋介石は思ったに違いない。これは、それくらい「間抜けな」話なのです。

 その後、中華民国の蒋介石は中国共産党の毛沢東に敗北し、その中国共産党が1949に中華人民共和国を建国しました。
 そして、新たに建国された共産独裁国のことも、日本ではそのまま「中国」となってしまいました。

 中華民国以前に大陸に存在していた国家は「清」であり、日本人はその地域のことを「シナ」と呼んでおり、そこに住む多数の民族まとめて「シナ人」として認識していました。
 遣唐使時代は、「唐土(もろこし)」と呼称したり、来航する中国商人を「唐人(からびと、とうじん)」などと呼んでいましたが、近世以降はシナ(支那)という呼び名が普及していたのです。

 「シナ」という言葉は、中国古代の王朝の一つ「秦(シン)」が語源と言われ、英語の「チャイナ」もスペイン語の「チーノ」もフランス語の「シーヌ」も同様です。漢字で「支那」と書くとこれまた蔑称だという人がいますが、音として、カタカナ表記の「シナ」ならば諸外国の呼び方の音に準じているわけですから、本来、これは「差別語」などではありません。
 そもそも、地域的概念でいえば東シナ海や南シナ海で使われているのも「シナ」です。歴史的に使ってきた言葉であり、世界標準で通用しているの呼称なのに、なぜか日本人はそれを放棄してしまいました。

 ここで、「中国」という言葉が危険だ…という話をしてみます。
 江戸時代前期の儒学者である山鹿素行という人物をご存知の方は多いと思います。彼は、自著『中朝事実』の中で、中国(支那王朝)は「外朝」であり、日本人にとっては、逆にむしろ日本こそが「中国(なかつくに)」・「中華」である、と主張しています。

「"中国"という言葉」は、自国を指したり、自国が「天下の中心」であることを示す言葉なので、日本人が支那大陸の国家を「中国」と呼ぶということは、
日本人が、自分から自国を「外朝」と認識して、まるで、日本が支那王朝に対する「朝貢国」であるかのような立場に置くもの…と言えるのです。

 更に言えば、巷では「中国4000年の歴史」などという表現がありますが、有史以来、支那大陸の歴史・王朝史を紐解くと、実際のところは、純粋に漢民族による王朝よりも、異民族によって漢民族が支配されていた国家がほとんどでした。
 その漢民族自体も、そのような異民族との戦争、征服・支配、亡命、移動、迫害を繰り返して、混血が進んだ結果が現在の「漢族」です。
 連綿と続いてきたのは、虐殺の歴史くらいで本当は「中国」の歴史などというものではありません。

 『目に見えぬ侵略』のクライブ・ハミルトン教授はじめ、欧米含む世界では、もちろん普通に「チャイナ」と称し、表記しているわけですから、そこにネジレはありません。この呼称問題は日本だけが抱えるものです。

 石原慎太郎元都知事や、故・中嶋嶺雄東京外語大学名誉教授、故・渡部昇一上智大学名誉教授などは、中国ではなく「シナ」と呼ばねば説明がつかない、
と、一貫して主張していましたが、肝腎の政治家、外務省の役人、その他多くの学者・言論人なども本来「シナ」と呼ぶべき文脈でも「中国」と呼び、
自らも気付かないうちに性根から侵略されてしまっているのです。

 紀元前からのシナ大陸での歴史を語る場合に、「シナ文明」という呼び方ではなく、「中国文明」と、ごく当たり前の如く日本人が自分から語ってしまっている時点で、すでに中国(中華民国、中華人民共和国)側のプロパガンダに見事にやられてしまっているのです。
「日本という国は、所詮、大中華の外れの、取るに足らない弱小国に過ぎない」と日本人自身の思考が既にそうなってしまっているのです。

 ここで日本人が目覚め・自覚すべきなのは、あのエリアを称する時の地域的概念は「シナ」か英語音に準じて「チャイナ」とすべきで、「中国」と呼称する際には、あくまでも、「中華人民共和国」か「中華民国」の略称である、
ということをその都度、何度でも、しつこいくらい確認しておく、ということなのです。


    
コメント
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