そういうことだったのか。
わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
頂門の一針 5793号
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2021(令和3年)年 6月1日(火)より
【変見自在】DV難民
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高山 正之
『週刊新潮』 令和3年6月3日号
スリランカのウィシュマ・サンダマリは留学ビザで4年前に来日した。
日本語を覚え、ゆくゆくは日本の中学校で英語を教えるつもりだったという。
ただ夢の実現には努力がいる。彼女はそれを失念し、やがて留学先の語学学校に姿を見せなくなった。
知り合った同郷の男と同棲を始めたからだ。
学校側は半年の猶予を与えたが、なおさぼり続けたので除籍処分とした。
留学ビザが失効すれば不法滞在となる。彼女は急ぎ難民認定を申請した。
そんなことで認定されるわけもない。半年後に申請は却下されて在留資格を失うと、彼女は同棲男と行方をくらました。
これが米国なら国土安全保障省(DHS)が直ちに出頭命令を出し、警察権を使って行方を追う。
DHSはアルカイダによる9・11テロを機に出入国管理を徹底するために新設された役所で、日本の旧内務省の権限に似る。
しかし今の入管局にその力はない。彼女の行方を追う術もなく2年が過 ぎようとした昨年夏、ウィシュマが静岡県下の警察に駆け込んで保護を求めた。
同棲相手の「家庭内暴力で殺されかけた」「一刻も早く国に帰りたい」と。
彼女は不法滞在中だ。さっさとスリランカ行きの飛行機に飛び乗ればいい。
ただ彼女の所持金は20ドル。彼女の実家もカネを出さない。
そうなると名古屋の入管局収容所に入り、政府のカネで送り返す強制退去処分を待つことになる。
ニューヨーク・タイムズによると、そこへ当のDV男から手紙が届けられた。
なぜ男が彼女の居所を知ったのか、なぜ彼女に手紙を書く気になったのかは分かっていない。
そのころ善意の塊みたいな難民人権団体が彼女に足繁く会いに行っている。彼らがDV男と接触したかどうかも不明だが、手紙には「お前が日本の警 察にチクったから酷い目に遭った。国に戻ってきたら仕返ししてやる」とあった。
人権団体は「彼女は帰国すれば命の危険がある」から立派な難民資格があると言い出した。
彼女も帰国の意思を翻して難民申請を出した。
しかしDV虐待が難民申請理由になるのか。それに難民受け入れには「善良な人」が認定要件だ。
彼女の場合、勉強もしないで遊び惚けて、挙句に帰国したい、いや日本に残りたいと駄々をこねる。身勝手だけが目につく。
ただ難民認定申請を出したら現行法下ではその間は強制送還されない。
申請が却下されても再申請し続けている限り、送還されることはない。ずっと日本に居られる。
目下はそういう繰り返し申請組が3100人もいて、その8割が病気などを理由に仮放免されている。
みんな塀の外で生活をエンジョイできる。中には強姦致死で捕まった凶悪な前科者など、580人もいたりして、日本安住を要求し続けている。
ウィシュマも人権団体の助言でか、難民申請を出すと同時に体の不具合を訴え外の病院に入りたいと言い出した。入管法の穴を巧みに衝いた手口だ。
入管局は医師の診断を仰ぎ、入院の要なしとしたが、彼女は処方箋の服用を拒んで病状が悪化。病院に搬送されたが、死亡した。
ずっと彼女に入れ知恵してきた人権団体はこれを待って彼女の妹二人をスリランカから呼び寄せ、上川法相に面会させた。
ために入管法改正案は廃案に追い込まれた。
妹二人を呼び寄せるカネがあるなら、最初からウィシュマの飛行機代を出してやればよかったのに。
DV男は地元の警察に言えば済む話だ。
何故、人権団体はそういう人道配慮をしなかったのか。彼女が死ねば政局になると考えたのか。
もう一つ、米紙ですら詳細に報じた彼女の問題行動を日本の新聞はなぜ1行も書かなかったのか。
慰安婦の嘘を定着させたクマラスワミと言い今度と言い、どうもスリランカ人とは相性がよくない。
松本市 久保田 康文氏 採録 を転載