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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

今年初見のオオムラサキは、猪のうんちを吸っていた(妻女山里山通信)

2012-07-03 | アウトドア・ネイチャーフォト
 全国で、オオムラサキ羽化のニュースが流れていますが、当地でも先週末から羽化が始まったようです。羽化したのはオスばかり。あと一週間もするとメスも羽化を始めます。国蝶といっても。ことさら希少な蝶というわけではありませんが、オオムラサキが棲める森というのは、日本の里山の豊かさ、健全さを示すバロメーターとなるのです。オオムラサキがたくさん発生する森というのは、他の昆虫や動物にとっても棲み易い環境といえます。

 蛹について------、「幼虫が脱皮して蛹になるにはホルモンが作用。幼虫の体の中に、脱皮をうながす前胸線ホルモンと脳の後ろの アラタ体から分泌され、脱皮を押さえる幼若ホルモンの二種類があり、積算温度や日照時間によってホルモンのバランスがくずれて、脱皮したり蛹になったりする。蛹の殻の中では、消化器、神経節、生殖器は少し変化するが、他の部分はドロドロになった芽胞という細胞が分裂を繰り返して、形を作っていく。形が整ったところで鱗毛、鱗粉がつくられ、最後に色素が形成され、模様が完成する。オスはメスより早く蛹になる」(北杜市オオムラサキセンターのサイトより抜粋引用)

 そのため、細胞分裂が盛んな蛹の時に、物理的刺激や放射能の影響を受けると奇形が発生することがあります。蛹を見つけても触ってはいけません。激しく暴れ羽化不全を起こし奇形になる可能性があるからです。ましてや放射線にさらされたら、何をか言わんや。容易に想像がつきます。

 今年は空梅雨のためか、樹液がまだ出ていません。そのためコナラやクヌギには集まらずにいます。どこで栄養補給をしているのだろうと、飛んでいる個体を追い掛けると、森の中の草原に下り立ちました。忍び寄って見ると、臭い。オオムラサキは、猪の糞を吸っていました(写真下から二番目)。別の個体は、桑の大木の下にいて、落ちた桑の実がつぶれて発酵したものを吸っているようでした。今回撮影したオオムラサキが樹上ではなくほとんどが地上なのは、そのためです。

 撮影していると、パタパタと私の周りを飛びながらトレッキングパンツに留まります。そして、丸めていた口吻を伸ばして布に押しあて吸い始めます。わずかについた汗の塩分を舐めているのでしょう。真夏などは、汗ばんだ指に留まる事もあり、くすぐったいのを我慢して、それを撮影したこともあります。

 羽化したてのこの時期は、まだ翅もきれいですが、中には翅の一部が欠損したものがいます。恐らく地面で吸汁中に、ニホンカナヘビなどに襲われたのでしょう(写真最下部)。翅の一部が欠損したくらいでは、なんの問題もなく羽撃きます。気が結構強いので、幼虫時代に仲間が食べられた恨みではないでしょうが、ツバメやヒヨドリを猛スピードで追い立てる追尾行動も見られます。

 オオムラサキを撮影すると、黒い小さな瞳がいつもこちらを見ていて可愛いのですが、これは偽瞳孔(ぎどうこう)といって、本当の瞳ではありません。上からに番目の右の写真の様に、正面から撮ると偽瞳孔のひとつが消えて(実際は内側に入っている)しまうこともあります。複眼が筒状になってて底まで見える場合だけ黒く見えるということらしいのですが、やはり、どうしても瞳に見えてしまい親しみを感じずにはいられないところです。

 複眼といっても実際は、ひとつに統合された画像を見ているようで、画素数はそんなに高くないようですが、紫外線が見えたり、動体視力はいいようです。なので蝶に近づくには、なるべくゆっくりと動くことが逃げられないコツです。

 梅雨末期が近づき、雨が降って気温があがり樹液が出始めると、樹液バー(樹液酒場)の開店です。大賑わいの昆虫酒場が見られるでしょう。

■オオムラサキは、チョウ目(鱗翅目)・タテハチョウ科に分類されるチョウの一種。日本の国蝶。学名はSasakia charonda(Hewitson, 1863)、中国名は「大紫蛺蝶」。(wikipedia)

★Youtubeスライドショー(BGMは、GarageBandで作曲したオリジナルです)
■Omurasaki butterflies in Japan 2011 Part 1of3【オオムラサキ】


■Omurasaki butterflies in Japan 2011 Part 2of3【オオムラサキ】


■Omurasaki butterflies in Japan 2011 Part 3of3【オオムラサキ】


ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。オオムラサキの写真は「蝶・蜻蛉 4 5」にたくさんあります。

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■歴史は繰り返す:864年:富士山噴火/868年:播磨国地震(阪神)/869年:貞観地震M9・貞観津波(東北)/871年:鳥海山噴火/874年:開聞岳噴火/878年:相模武蔵地震(関東)M 7.4/887年:仁和地震(東海南海地震)M9(M=推定)

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