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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

里山の妖精ゼフィルス。縞々の可愛い靴下をはいたり、メタリックブルーを纏ったり(妻女山里山通信)

2012-07-07 | アウトドア・ネイチャーフォト
 ここ2年ほどは、全くといっていいほどゼフィルスを見ませんでした。ゼフィルスといっても、馴染みのない人には分からないでしょうが、樹上性のシジミチョウの一群の総称で、日本には25種います。ゼフィルスは、西風という意味で、語源はギリシャ神話のゼピュロス神。スペイン語でセフィーロ。地中海に春をもたらす西風(そよ風)のことです。ゼフィルスはゼフともいい、森林性が強く、多くの種がブナ科を食樹とし、卵で越冬します。

 ちなみにゼピュロスは笛の名手で、その神がシルクロードを伝って日本にたどりつき、奈良薬師寺五重塔の飛天になったともいわれています。シルクロードの歴史ロマンを感じさせる話です。ゼピュロスは、英語ではゼファー。ゼファーガンダムも、それにちなむ命名とか。翅をめいっぱい広げても25ミリから50ミリの小さな蝶で、せわしなく舞うのが特徴。種によってはメタリックに輝く翅が非常に魅力的です。

 希少種を除いては特別な蝶ではなく、日本の里山から亜高山で普通に見られます。信州では希少種もいて、つい最近も不届き者が違法に捕獲して逮捕されました。違法でなくても大量の卵を食草毎持って行く様な輩は、非難されるべきでしょう。当地では、ありふれた種しかいませんが、それでも小さな蝶がメタリックな翅を翻して樹間を飛び交う様は、美しく見飽きないものです。ヤマトシジミやベニシジミは、都内の公園や川原でも見られます。調布の野川でもよく見かけました。

 撮影地は伏せますが、山道を一時間ほど登った熊や猪が出没する森のギャップです。熊には出合いませんでしたが、ニホンカモシカやしたばかりの大きな猪の糞を目撃、徘徊する5センチもある巨大なオオスズメバチの女王と遭遇しました。秋の攻撃的な蜂と違って凶暴ではありませんが、ウィンナーソーセージほどもある大きな蜂が横を通り過ぎると、やはり緊張します。道すがら三光鳥が「月、日、星、ホイホイホイ」と鳴いていたのが慰めでした。

 今回撮影したのは5種類。ゼフィルスは、それぞれに食草、食樹があるのですが、梅雨前の時期の林道などの除草で何も知らない行政と委託された業者が、それらを蛹毎刈り払ってしまうのをよく見かけます。絶滅に手を貸しているという認識がないだけに問題の根は深いといえます。野生獣被害防止の除伐をする林業関係者も、有用材はよく知っていますが、食樹となる樹はいわゆる雑木や雑草なので、これも名前も知らず伐採してしまうのが現状です。一方で行政は、自然保護もやっているのですが、縦割り行政の弊害の典型といえるでしょう。

 蝶の観察や保護をしているあるゼフィルスの研究家が、市の教育委員会などに働きかけたことがあるそうですが、何も動いてくれなかったようです。教育委員会の有識者といっても単に元校長等。生物の専門家や研究家でもないので、危機感は持っていないのでしょう。意識レベルが低いといわざるを得ません。利権がからめばすぐに動くのでしょうが。それではね・・。

 今回も翅が縮れた羽化不全の奇形の個体や羽化後ニホンカナヘビかなにかに翅を喰われた個体を見かけました。通常でも奇形は一定量現れるのですが、東北、関東などでは、放射性物質の出す放射線の影響で、一定量以上の奇形が出現する蓋然性が高まると思われます。特に細胞分裂の盛んな蛹の時期に影響を最も受け易いと思われるので、汚染地の研究者は注意深く見る必要があると思います。

 萩やマルバフジバカマの花が咲きだすと、ゼフィルスのシーズンも佳境です。

ゼフィルスの饗宴:シジミチョウとの出合いを求めて信州の里山を徘徊

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