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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

栂池自然園へ。濡れるとガラス細工の様に透明になるサンカヨウを求めて(妻女山里山通信)

2017-07-17 | アウトドア・ネイチャーフォト
 三連休の初日は、信州は小谷村の栂池高原から栂池自然園へ、濡れるとガラス細工の様に透明になるサンカヨウを求めて登りました。もちろんそれだけではなく、他の高山植物や昆虫も撮影しました。前日まで雨模様の天気だったそうですが、当日は朝は晴天。

(左)6時40分に栂池ゴンドラリフト乗り場へ。既に40人ぐらい並んでいました。7時少し前に出発。ここの標高は830m。(中)天気予報は曇から晴れでしたが、実際は晴れから曇へ。ゲレンデ越しに左に白馬鑓ヶ岳、右に杓子岳。(右)ゴンドラからロープウェイに乗り換える辺りはガスの中。

(左)ゴンドラに20分。ロープウェイに5分乗って下車。まずビジターセンタに寄って情報を得ます。サンカヨウの見頃は一週間前とのこと。少し心配になって栂池自然園へ。入り口です。朝露に濡れる木道を歩きます。(中)栂池自然園は、標高1850mから2015mに広がる湿原地帯。ミヤマキンポウゲが咲き乱れる湿原。白馬三山は次第に雲に隠れ始めました。(右)チングルマは、場所によっては残花でしたが、これから咲くところもありました。

(左)キヌガサソウ(衣笠草)。ユリ科ツクバネソウ属の多年草。(中)これは? 一瞬何?と思いましたが、衣笠草の残花です。(右)ハクサンチドリ(白山千鳥)。ラン科ハクサンチドリ属の多年草。ノビネチドリも見られるそうです。

 お目当てのサンカヨウ。場所によってかなり異なりました。散って結実しているものから、実が膨らみ始めた残花、満開までと色々。サンカヨウ(山荷葉、学名:Diphylleia grayi )は、メギ科サンカヨウ属の多年草です。実は食用になるようです。白い花びらですが、所々透明感があります。

 もともと透明に近い花なのでしょうが、長時間霧雨や朝露にさらされると、花びらの細胞に水分が浸透していき、光の乱反射がなくなり透明に見えるのではないでしょうか。結実が始まると、花びらは少しの風雨でも散ってしまうようです。美しさと同時に儚さを感じる野草です。栂池自然園では、園内のあちこちで見られます。

(左)水芭蕉はほぼ咲き終わっていました。コバイケイソウは数輪咲いていましたが、これからです。小さな流れではイワナが見られました。(中)残雪もあこちに散見されます。(右)風穴の氷。気持ちのいい涼風が吹き出しています。いくつか渡る渓流は、雪解けの水で非常に冷たい。

(左)咲き始めの水芭蕉もわずかに。(中)エンレイソウ(延齢草)。ユリ科エンレイソウ属。妻女山山系には、シロバナのミヤマエンレイソウも咲きます。(右)オオヒョウタンボク(大瓢箪木)。スイカズラ科スイカズラ属 。ヒョウタンボクの高山種ですが、小さい花なので見落とした人が多かったでしょう。

(左)イワイチョウ(岩銀杏)はミツガシワ科イワイチョウ属の多年草。別名は、ミズイチョウ(水銀杏)。葉の形がイチョウに似ているからとありますが、似ていないですよね。(中・右)散策路で散見された、おそらくヤマキマダラヒカゲ。妻女山山系にはサトキマダラヒカゲがいますが、実は見分けが難しい。個体変異も大きいし、交雑種もいるのではと疑います。右は木道のおそらくオコジョの糞を吸うシーン。たくさんのヤマキマダラヒカゲが集まり争って吸っていました。撮影の際に、数十秒ですが待ってくれたハイカーの方がいました。感謝です。

(左)あちこちで小さな群生地が見られたミツバオウレン(三葉黄蓮)。キンポウゲ科オウレン属の多年草です。1センチほどの小さな花なので、気がつかない人が多いでしょう。(中)イワカガミ(岩鏡)。イワウメ科イワカガミ属。コイワカガミとの区別は、明瞭ではないようです。(右)シラネアオイ(白根葵)。キンポウゲ科シラネアオイ属。撮影していた女性が、これを目当てに来るカメラマンもいるんですよと言っていました。日本固有種の1属1種であることも理由でしょうか。花びらに見えるものはガク(萼)。

(左)もっとも残雪があったところ。(中)ひと登りして湿原展望台へ行ったのですが、ガスで北アルプスは全く見えず。これはコースの最高地点手前で撮影した栂池自然園の全景。右上が出発地点です。(右)往路とは別の木道を戻りました。向かいの鵯(ひよどり)峰には、まだ残雪も多く、あちこちに滝も見られます。

(左)タニウツギ(谷空木)の残花。スイカズラ科タニウツギ属の落葉小高木です。(中)サラサドウダン(更紗灯台、更紗満天星)。ツツジ科ドウダンツツジ属の落葉低木。風鈴ツツジとも。(右)近くにはベニバナドウダン。ベニバナサラサドウダンとも。サラサドウダンの変種。ヤセ尾根にありました。

(左)そのヤセ尾根の斜面に咲いていたグンナイフウロ(郡内風露)。フウロソウ科フウロソウ属。変種がたくさんあって細かな種の同定は難しいようです。林下の急斜面で吹き上げる涼風にゆれていました。(中)木道で散見されたニッコウキスゲ。群落が満開になるのはこれからでしょう。わが家の畑の同属のヤブカンゾウも咲き始めたところですから。(右)ベニバナイチゴ(紅花苺)。バラ科キイチゴ属。

(左)園内の殆どのコースを撮影しながら回って4時間半弱で戻りました。栂池ヒュッテの記念館を見学。(中)展示されていた登山用具の変遷。中学の学校登山は燕岳でしたが、黄色い帆布のザックで登りました。(右)昼食は栂池山荘のレストランで、天ぷら蕎麦。天ぷらは、海老、カボチャ、ナス、赤紫蘇、山葡萄の葉、海苔菜(のりな・オカノリ)。蕎麦も美味でした。

(左)下山後は、宿のチェックインまで時間があるので、塩の道探訪へ。塩の道の千国街道の千国番所。(中)塩倉。実際は二倍ぐらいの大きさだったとか。塩の蔵なので、建物には鉄の釘は使われていません。(右)竈と馬屋。馬屋の奥に見える唐箕は、わが家に現存し、大豆や小豆、ブラジル豆の選別に、現役で使っています。このあとで、牛方宿の古民家にも寄りました。
 宿は、栂池高原の昭和の薫りがする和風のスキー民宿「松ノ木亭」。なんでも糸魚川出身とかで日本海直送の魚介類が自慢。舟盛りの刺し身はもちろん、高級魚ののどぐろ(アカムツ)の塩焼きが出てきたのには驚きました。都内で食べたら2000円はします。家族でやっているので設備やアメニティ、サービスはそれなりですが、宿のご夫婦との会話も楽しいものでした。安曇野で娘さんも民宿をやっているそうです。
塩の道

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