最低気温が氷点下の日がほとんどなくなり、最高気温が15度を超える日が続くと里山は一気に芽吹き始めます。時間がないので車で登って、妻女山山系の芽吹き状況を見てきました。信州の春は気ぜわしく、ボーっとしているとあっという間に初夏になってしまうのです。この間、ダンコウバイ(檀香梅)がやっと咲いたと思ったのですが。これから最高気温が20度を超える日が出ると、壮大な自然のドミノ倒しの様に信濃の春は慌ただしく過ぎていくのです。千曲市森の杏は、12日現在でほぼ満開だそうです。
一足早く芽生えるニワトコに続いてヤマツツジやレンゲツツジも芽生え、ミヤマウグイスカグラは花も咲き出しました。そんな中で、ひときわ緑が鮮やかなのがマユミ(檀、真弓、檀弓)の若葉です。苦味が強いので塩ゆでしてアク抜きしますが、天ぷらやおひたし、マユミ飯などで食べられる山菜です。早速摘んで塩ゆでしてお浸しで食べてみましたが、はんなりと苦い自然の滋味という感じでした。我が家の山のウツギ(空木)も芽吹きました。梅雨時に咲く純白の花は、本当に美しい。『夏は来ぬ』で「卯の花の匂う垣根に」と歌われるあのウツギです。ウツギの花が咲くとアゲハチョウやキアゲハなどが吸蜜に訪れます。また天蚕の繭をつくるウスタビガの食草でもあります。日当たりの良い斜面のタラノキ(楤木、桵木)やハリギリ(針桐)も新芽が膨らんできました。ただ山菜は、放射性物質を取り込みやすいので、充分に注意が必要です。
山野草では、妻女山山系に多いムラサキケマンが成長。混じってひっつき虫で有名なヤエムグラ(八重葎)があちこちに群生。東アジア・ヨーロッパ・アフリカにも分布する史前帰化植物の1つです。但し、小倉百人一首の恵慶法師の「八重むぐら しげれる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋は来にけり」の八重むぐらは、秋なのでカナムグラ(鉄葎)のことのようです。林道の明るい斜面にはミヤマハコベ(深山繁縷)。ハコベは春の七草ですからミヤマハコベも食べられます。こういうことは食糧危機のためにも知っていおいた方がいいでしょう。山野草は有毒のものが多く、同定が困難なものも少なくないからです。妻女山で最初に咲くスミレがアオイスミレです。赤い斑入りのものも混じります。
林道を登ると足元に毛虫がと思ってよく見ると、ヤマナラシ(山鳴)の花序でした。ヤナギ科ですが、日本のポプラなどとも言われます。妻女山山系では、主に尾根の稜線の北側にシラカバ、南側にヤマナラシが見られます。葉がやや大きめで葉柄が長いので、僅かな風でもはためいて音を立てるので山鳴らしの名になったとか。別名はハコヤナギですが、材が柔らかく加工し易いので箱やマッチの軸などに使われました。ソメイヨシノの蕾も爆発寸前ですが、今日開花しました。妻女山や象山は桜の名所です。森の杏は、9日現在、平地で5分咲き、山際で2分咲きということです。満開は来週の中頃でしょうか。天城山の北面の林道沿いではキブシ(木五倍子)が咲きました。この花を見ると信州にもやっと遅い春が来たなと実感します。
駆け足でカタクリの群生地へ。ここは人知れず数万株のカタクリが咲きますが、信州ではこういう群生地は珍しくはありません。アリが種についたエライオソームを欲しいために種を巣まで運んで増える、いわゆるアリ散布植物ですが、一度アリが種を運んでいるところを観てみたいものです。カタクリは蕾ができ始めていました。全草が食べられますが、食べ過ぎると下します。まあ便秘の人にはいいかも。私は葉の天ぷらがモチモチして好きですが、ユキノシタの葉の方が美味しいかな・・。微妙です。
「もののふの 八十娘子(やそをとめ)らが 汲みまがふ 寺井の上の かたかごの花」大伴家持
この歌は、家持が北陸に赴任していた時に、群れ咲くカタクリを見て、都の古刹の井戸の周りではしゃぐ女官たちを偲んで歌ったものと言われています。情景と家持の都へ帰りたいようという思いが(笑)伝わってきます。
貝母(編笠百合)もグングン大きくなってきました。でも見頃はゴールデンウィーク初めかな。4月中旬には咲き始めるでしょうけれど。やはり、あの大雪で遅くまで残雪があったため、地温がなかなか上がらなかったのが原因でしょう。その群生地の近くに、これも帰化植物ですが、オオアマナのちょっとした群生地があるのです。誰か育てていたものを持て余して捨てたのが増えたのでしょうか。ベツレヘムの星とも言われる純白の6つの花は、可憐で美しい。キリストが生まれたときに輝いたといわれる星の名です。でも毒草です。
私が最初に発見した時は、ここは本当に酷い藪で、人が入れないほどでした。貝母は四畳半ほどしかなかったのです。二年かかって灌木や藪を切り開いてここまで増えたのですが、種が東風に乗って西へ西へと向かう旺盛な繁殖力には、最近脅威を感じています。向こうの落葉松林の先の斜面はオオブタクサの繁殖地で、去年も妻女山里山デザイン・プロジェクトの面々で除草をしたのですが、貝母が繁殖すればオオブタクサを駆逐するかもしれませんね。帰化植物同士の戦いです。ここは、第四時川中島合戦の際に、上杉謙信が七棟の陣小屋を建てたと伝わる山上の平地です。ニホンカモシカやイノシシ、時にはツキノワグマも訪れます。
上の写真は、2009年11月の陣馬平です。これでも秋枯れでやっと入れたくらいなのです。樹木に絡みついているのは、ヤマフジ、ミツバアケビなどで、これらは樹木を枯らします。夏はノイバラも生い茂りとても入れませんでした。その上の現在の写真と比べていただくと、どれほど酷い藪だったかが分かると思います。里山は、手入れをしないと、すぐこんな風に荒れてしまうのです。
父の遺品を整理していたら、『歴代草書選』全五巻というのが出てきました。父は古文書は読めないので、これは恐らく村会議員をしていた祖父のものでしょう。なかなか状態がよく、全巻を包むカバーのピンは、象牙のようです。これで、古文書を解読する助けに少しはなるでしょうか。
しかし「春眠暁を覚えず」で、なかなか頭がスッキリしません。信州の春は寒暖の差が激しく、一日の気温差が20度もあります。気圧の変化も激しく、午後になると春の突風が吹き荒れます。すると自律神経のバランスが崩れ、体調を崩したり激しい動悸が起きたり、漠然とした不安に襲われたりします。加えて入学や入社に転居、移動など、環境の変化も激しく、余計に厄介です。
昔の人は「木の芽時」と言って備えたものです。春は動物の発情期ですが、人間も性ホルモンが活発になり精神が不安定になるのです。加えて花粉症の季節でもあります。無理に抗(あらが)わず、こういうものだと開きなおることも必要です。苦い山菜や抗酸化作用の強い食品を食べたり(サプリメントは不可)、ぬるいお風呂にゆっくり浸かったり、アロマテラピーやマッサージやエステもいいですね。自分の一番好きなことをしたり、散歩や森林浴など、癒される色々なことをしましょう。疲れた心体をリラックスさせ休ませることも必要。でも内側に篭もらない。自分を追い詰めない。Que sera sera「なるようになる」HAVE A NICE DAY! 愛してるよ!
PCのスペックに余裕がある人は、1080pのハイビジョンで、フルスクリーンで観てください。面白うて、やがて哀しきワールド・オーダー。
★ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。信州の春の花はこちらで。
★妻女山里山デザイン・プロジェクトの記事のリンク集です。見出し最下部の妻女山SDP1~12の数字をクリックすると、当該記事が開きます。
◆放射能情報については、左のツイッターをご覧ください。呼吸による吸引内部被曝は、ほぼ100%吸収されます。食品による内部被曝も非常に危険。内部被曝は足し算です。微量だからといって安心はできません。
一足早く芽生えるニワトコに続いてヤマツツジやレンゲツツジも芽生え、ミヤマウグイスカグラは花も咲き出しました。そんな中で、ひときわ緑が鮮やかなのがマユミ(檀、真弓、檀弓)の若葉です。苦味が強いので塩ゆでしてアク抜きしますが、天ぷらやおひたし、マユミ飯などで食べられる山菜です。早速摘んで塩ゆでしてお浸しで食べてみましたが、はんなりと苦い自然の滋味という感じでした。我が家の山のウツギ(空木)も芽吹きました。梅雨時に咲く純白の花は、本当に美しい。『夏は来ぬ』で「卯の花の匂う垣根に」と歌われるあのウツギです。ウツギの花が咲くとアゲハチョウやキアゲハなどが吸蜜に訪れます。また天蚕の繭をつくるウスタビガの食草でもあります。日当たりの良い斜面のタラノキ(楤木、桵木)やハリギリ(針桐)も新芽が膨らんできました。ただ山菜は、放射性物質を取り込みやすいので、充分に注意が必要です。
山野草では、妻女山山系に多いムラサキケマンが成長。混じってひっつき虫で有名なヤエムグラ(八重葎)があちこちに群生。東アジア・ヨーロッパ・アフリカにも分布する史前帰化植物の1つです。但し、小倉百人一首の恵慶法師の「八重むぐら しげれる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋は来にけり」の八重むぐらは、秋なのでカナムグラ(鉄葎)のことのようです。林道の明るい斜面にはミヤマハコベ(深山繁縷)。ハコベは春の七草ですからミヤマハコベも食べられます。こういうことは食糧危機のためにも知っていおいた方がいいでしょう。山野草は有毒のものが多く、同定が困難なものも少なくないからです。妻女山で最初に咲くスミレがアオイスミレです。赤い斑入りのものも混じります。
林道を登ると足元に毛虫がと思ってよく見ると、ヤマナラシ(山鳴)の花序でした。ヤナギ科ですが、日本のポプラなどとも言われます。妻女山山系では、主に尾根の稜線の北側にシラカバ、南側にヤマナラシが見られます。葉がやや大きめで葉柄が長いので、僅かな風でもはためいて音を立てるので山鳴らしの名になったとか。別名はハコヤナギですが、材が柔らかく加工し易いので箱やマッチの軸などに使われました。ソメイヨシノの蕾も爆発寸前ですが、今日開花しました。妻女山や象山は桜の名所です。森の杏は、9日現在、平地で5分咲き、山際で2分咲きということです。満開は来週の中頃でしょうか。天城山の北面の林道沿いではキブシ(木五倍子)が咲きました。この花を見ると信州にもやっと遅い春が来たなと実感します。
駆け足でカタクリの群生地へ。ここは人知れず数万株のカタクリが咲きますが、信州ではこういう群生地は珍しくはありません。アリが種についたエライオソームを欲しいために種を巣まで運んで増える、いわゆるアリ散布植物ですが、一度アリが種を運んでいるところを観てみたいものです。カタクリは蕾ができ始めていました。全草が食べられますが、食べ過ぎると下します。まあ便秘の人にはいいかも。私は葉の天ぷらがモチモチして好きですが、ユキノシタの葉の方が美味しいかな・・。微妙です。
「もののふの 八十娘子(やそをとめ)らが 汲みまがふ 寺井の上の かたかごの花」大伴家持
この歌は、家持が北陸に赴任していた時に、群れ咲くカタクリを見て、都の古刹の井戸の周りではしゃぐ女官たちを偲んで歌ったものと言われています。情景と家持の都へ帰りたいようという思いが(笑)伝わってきます。
貝母(編笠百合)もグングン大きくなってきました。でも見頃はゴールデンウィーク初めかな。4月中旬には咲き始めるでしょうけれど。やはり、あの大雪で遅くまで残雪があったため、地温がなかなか上がらなかったのが原因でしょう。その群生地の近くに、これも帰化植物ですが、オオアマナのちょっとした群生地があるのです。誰か育てていたものを持て余して捨てたのが増えたのでしょうか。ベツレヘムの星とも言われる純白の6つの花は、可憐で美しい。キリストが生まれたときに輝いたといわれる星の名です。でも毒草です。
私が最初に発見した時は、ここは本当に酷い藪で、人が入れないほどでした。貝母は四畳半ほどしかなかったのです。二年かかって灌木や藪を切り開いてここまで増えたのですが、種が東風に乗って西へ西へと向かう旺盛な繁殖力には、最近脅威を感じています。向こうの落葉松林の先の斜面はオオブタクサの繁殖地で、去年も妻女山里山デザイン・プロジェクトの面々で除草をしたのですが、貝母が繁殖すればオオブタクサを駆逐するかもしれませんね。帰化植物同士の戦いです。ここは、第四時川中島合戦の際に、上杉謙信が七棟の陣小屋を建てたと伝わる山上の平地です。ニホンカモシカやイノシシ、時にはツキノワグマも訪れます。
上の写真は、2009年11月の陣馬平です。これでも秋枯れでやっと入れたくらいなのです。樹木に絡みついているのは、ヤマフジ、ミツバアケビなどで、これらは樹木を枯らします。夏はノイバラも生い茂りとても入れませんでした。その上の現在の写真と比べていただくと、どれほど酷い藪だったかが分かると思います。里山は、手入れをしないと、すぐこんな風に荒れてしまうのです。
父の遺品を整理していたら、『歴代草書選』全五巻というのが出てきました。父は古文書は読めないので、これは恐らく村会議員をしていた祖父のものでしょう。なかなか状態がよく、全巻を包むカバーのピンは、象牙のようです。これで、古文書を解読する助けに少しはなるでしょうか。
しかし「春眠暁を覚えず」で、なかなか頭がスッキリしません。信州の春は寒暖の差が激しく、一日の気温差が20度もあります。気圧の変化も激しく、午後になると春の突風が吹き荒れます。すると自律神経のバランスが崩れ、体調を崩したり激しい動悸が起きたり、漠然とした不安に襲われたりします。加えて入学や入社に転居、移動など、環境の変化も激しく、余計に厄介です。
昔の人は「木の芽時」と言って備えたものです。春は動物の発情期ですが、人間も性ホルモンが活発になり精神が不安定になるのです。加えて花粉症の季節でもあります。無理に抗(あらが)わず、こういうものだと開きなおることも必要です。苦い山菜や抗酸化作用の強い食品を食べたり(サプリメントは不可)、ぬるいお風呂にゆっくり浸かったり、アロマテラピーやマッサージやエステもいいですね。自分の一番好きなことをしたり、散歩や森林浴など、癒される色々なことをしましょう。疲れた心体をリラックスさせ休ませることも必要。でも内側に篭もらない。自分を追い詰めない。Que sera sera「なるようになる」HAVE A NICE DAY! 愛してるよ!
PCのスペックに余裕がある人は、1080pのハイビジョンで、フルスクリーンで観てください。面白うて、やがて哀しきワールド・オーダー。
★ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。信州の春の花はこちらで。
★妻女山里山デザイン・プロジェクトの記事のリンク集です。見出し最下部の妻女山SDP1~12の数字をクリックすると、当該記事が開きます。
◆放射能情報については、左のツイッターをご覧ください。呼吸による吸引内部被曝は、ほぼ100%吸収されます。食品による内部被曝も非常に危険。内部被曝は足し算です。微量だからといって安心はできません。