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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

1940年、第二次世界大戦が始まった頃のブラジル。[OLD BRAZIL-1940s]

2012-01-11 | 歴史・地理・雑学
 著作権満了の雑誌からスクラップした1940年頃のブラジルのスライドショーです。1939年に第二次世界大戦が始まり、日独伊三国軍事同盟締結、大政翼賛会発足、東京府東京市で開催される予定であった夏季オリンピックは幻となり、翌年には真珠湾攻撃から太平洋戦争が勃発した時代です。

 第二次世界大戦が、主に北半球で展開されたため、ブラジルは戦場にはなりませんでしたが、連合国側で参戦し、ラテンアメリカで唯一陸軍をヨーロッパ戦線(イタリア戦線)に派遣しました。しかし、軍事独裁体制に対する不満が国民と軍内部で強まり、大戦終結後軍事クーデターによってヴァルガス大統領は失脚しました。

 40年頃の写真を見ると、日清、日露、第二次世界大戦と明治以降富国強兵に勤しみ国費の多くを軍事費に充てて来た日本とは異なり、都市部ではインフラストラクチャーが充実していたことが分かります。サンパウロやリオデジャネイロの高層ビル群は、当時の日本には無かったものです。連合国についたために、日本とは国交断絶。日系移民の人達は、抑留や強制退去の扱いを受けましたが、ペルーなど他の中南米諸国のように日系人が米国の強制収容所に移送されるということはありませんでした。詳細は、国立国会図書館の「ブラジル移民の100年」を。

 戦後、工業化と高度経済成長 により、「ブラジルの奇跡」といわれる繁栄を築きましたが、私が旅をした80年代は「失われた10年」といわれる、年に数百パーセントというハイパーインフレの時代でした。現在は、いわゆる経済成長が著しい「ブリックス(BRICs=Brazil,Russia,India,China)」と呼ばれる4カ国の中にあり、目覚ましい発展を遂げています。ブラジルでは、現在がちょうど団塊の世代が働き盛りを迎えており、老人の比率が低いために、年金にまわす分を若い世代の家族手当にまわすことができます。結果中産階級が増えて教育水準も上がるわけですが、実際は格差が広がり、都市の犯罪は激増しています。

 そんな時代の最中に大変な事件が起きました。1987年9月、ブラジル・ゴイアニア放射線治療研究所からのセシウム137盗難による放射線被ばく事故で249人が被曝し、4人が死亡したのです。(写真表あり)
---汚染事故に関係し、被害者の心理的ストレス、被害者への社会的差別からの失業問題や不買など物心両面からの圧迫のほか、州、国も経済面、経費面から大きな影響を被った。---(記事より)

 恐らく世界大戦や世界恐慌などのアクシデントがないかぎり、ブラジルの成長は数十年は続くでしょう。そして、中産階級が増えると少子化が始まり、数十年後には現在の日本と同じ問題を抱えることになるはずです。人は豊になり教育水準が上がると少子化になります。問題は、それに備えて今から対策を構えておくことでしょう。日本はそれに失敗しました。数十年先を見る政治家や官僚が皆無だったわけです。原発問題、止まぬ円高、バブル崩壊から続く不況、米追従の奴隷政治など、昔日本の官僚は世界一優秀などとのたまっていた評論家がいましたが、実際はその真逆でしたね。政治家はそれ以下ですが。民度というには、あまりにもお粗末な結果です。

 ブラジルは、2014年にW杯、2016年に五輪を迎えます。東京オリンピックと万博を迎えた日本と重なるところがあります。しかし、広がる格差の問題や、止まない熱帯雨林の消滅などがブラジルを窮地に追い込むかもしれません。ブラジルのある先住民族は、「ジャングルは先祖からもらったものではなく、子孫から借りているものだ」として大切にしたそうです。

 人間も大いなる自然の一構成員にすぎないということを、単なるお飾りの概念ではなく、根本的に理解し政治や経済活動のベースとして活かしていかなければ、人類はやがて滅亡の一途を辿ることになるでしょう。ブラジルはブリックスの中では唯一の核を持たない国です(少ないけれど原発はあり)。今後、多民族国家であるブラジルが、世界のリーダー的な模範的平和国家として成長していくことを願って止みません。




■フォト・エッセイ「―ここからすべてが始まった―<アマゾンひとり旅>AMAZON.JP」1983-1984年の200日余りのブラジル・ボリビア・アマゾン放浪記

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