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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

戻り梅雨の晴れ間に妻女山陣場平へ。ヒグラシ、オオムラサキ、粘菌、アラゲキクラゲ。夏の郷土料理(妻女山里山通信)

2022-07-18 | アウトドア・ネイチャーフォト
 三連休は戻り梅雨で信州もスカッとは晴れませんでした。それでも日曜日は県外からも妻女山に歴史マニアが訪れてくれました。最終日、曇り空ですが一部青空も見える天気。妻女山の陣場平まで歩いて登りました。前日にもの凄い雷雨があったから車で登れるか分からなかったからです。山仕事もしないので道具もないし。ただ、気温は25度ぐらいでしたが湿度が100%。けっこう過酷な山歩きでした。

 葉の上におそらく羽化したばかりのヒグラシ。ジッとしています。羽化したてのセミの羽は、白っぽい薄青緑色です。人間や動物の血は、鉄分を含む赤血球中のヘモグロビンで赤く見えますが、それ以外の生物では薄青色の血(体液)の方が多いのです。これは銅成分を含むヘモシアニンのためです。

「ひぐらしは 時と鳴けども 恋ふらくに たわやめ我(あれ)は 定まらず泣く」〔詠人不知 万葉集 第10 1982〕
(ひぐらしは時を決めて鳴くけれども、恋のせいでか、弱い私は時を定めず泣いてばかりいます。)

 セミの中でもヒグラシは、漢字で書くと「蜩」「茅蜩」「秋蜩」「晩蝉」「日晩」「日暮」と色々あるように、その物悲しい鳴き声からか万葉の昔から日本人好みの昆虫でした。

 朽ちた倒木に苔。胞子嚢も育っています。苔は北八ヶ岳が有名ですが、500種類もあるそうです。

 キンポウゲ科というのは分かります。ただ、キンポウゲ、タガラシ、キツネノボタン、ウマノアシガタなど似たものが多く同定が困難です。ケキツネノボタンかとも思うのですが、確信が持てません。毒草です。

 林下の薄暗い丸太に粘菌。丸いのでタマツノホコリでしょうか。まだ子実体が形成されていないゼリー状のものも見られます。小さな甲虫が食べに来ています。

 これも粘菌のクダホコリ。もっと大きくなりそうですが、明日豪雨になったら溶けてしまうでしょう。マクロレンズに替えたかったのですが、なにせもの凄い湿度。ボディ内部に湿気が入ることを恐れて交換しませんでした。画像解像度があまり良くないのはそのためです。

 樹液バーに行きました。オオムラサキのオスが一頭吸汁しているだけです。カブトムシもアオカナブンもオオスズメバチもいません。

 度重なる雷雨で、アラゲキクラゲが大きくなりました。次の機会に採りましょう。キクラゲとトマトの中華風卵炒めは夏の定番です。

 川中島の戦いで上杉謙信が本陣とした陣場平。私が仲間と貝母(編笠百合)の保護活動をしているところです。満開の様子は、4月のアーカイブをご覧ください。日本の里山で見られるのはここだけです。今年はヒカゲイノコヅチを何回か刈っているので、草丈が例年の三分の一ぐらいです。川中島の戦いの記事の検索は、右上の検索窓に「川中島の戦い」と入れて、プルダウンでこのブログ内でを選び、検索ボタンをクリックしてください。

 貝母の現在の状況。すでに溶けて消えたものもあります。カラスアゲハが一頭舞っていました。他にはなにもいないので下ります。

 エンジュ(槐)に絡みつくナツヅタ(夏蔦)。湿度が高く暑くても汗が吹き出ることがなく、逆に熱がこもるので熱中症になりやすいのです。クロメマトイが纏わりつくのでタオルを半分に折って振り回しながら歩きます。

 林道に飛び出てきたのはカマドウマ。素早いのでなかなか撮影させてくれません。昔は民家の台所に出たので竈馬の名前が。厠にいたので便所コウロギというかわいそうな名称も。

 梅雨明けでしなびたヤマアジサイも復活しました。

 ネムノキも復活。アリが吸蜜に訪れていました。

 残土捨場にあるオオブタクサ。高さが3m以上、茎は根本で5センチもあります。陣場平のは毎回抜いています。今年も通算で500本以上は抜いていると思います。絶滅は困難ですが、かなり減りました。

 松代方面の眺め。かろうじて四阿山は見えます。暑くても三連休なので観光客や歴史マニアが訪れます。しかし、さすがにバテました。温泉へ向かいます。

 北の飯縄山、長野市街地方面の眺め。連日の雷雨で千曲川は泥の色に増水しています。戻り梅雨はいつ明けるのでしょう。24日(日)ぐらいでしょうか。撮影に出られないのでストレスがたまります。しかも明けたら猛暑とか。人間だけでなく里山の生物にとっても厳しい夏になりそうです。

 この夏初めての信州丸茄子のおやき。青紫蘇の葉で挟むのは、祖母が考えた我が家オリジナル。今回の粉は、伊賀筑後オレゴン、ゆめちから、ゆめせいきを同量づつ。手作り信州味噌にごま油、唐辛子を醤油麹に漬けたものを混ぜてピリ辛に。市販品とはひと味もふた味も違う旨さです。

 これも郷土料理。塩漬けの皮付き鯨の脂で出汁をとった汁で手打ちうどんを。具には丸茄子、モロッコインゲンを炒めて、昨秋採って冷凍しておいたクリタケを加えて煮ます。父が昔作った七味唐辛子で。うどんは、おやきの皮と同じです。こねて半日寝かせて何度も折り返して踏んで仕上げます。茹であげたら冷水でしめます。塩皮鯨はこの時期、スーパーで普通に並んでいます。丸茄子、南瓜、青唐辛子の煮物も夏の定番料理。冷やしていただきます。

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