モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

真夏の信州は激混み観光地を避けて超地味な史跡巡り(妻女山里山通信)

2013-08-17 | アウトドア・ネイチャーフォト
 信州は、車をちょっと走らせればすぐに観光地や高原です。観光地に住んでますという人も少なくはないのです。都会の人にすれば羨ましい環境かもしれませんが、観光シーズンはどこも満員。というわけで、シーズン中は誰も行かない様なマイナーな史跡巡りをするのです。ということで、今回行き当たりばったりで辿り着いたのが、上水内郡小川村の山の中にある戦国時代の「戸隠神社信仰遺跡」。非常にマイナーです。相当の歴史マニアでないと行かないでしょう。
「上杉謙信・武田信玄の川中島合戦の際に、戸隠三院の人々は武田方に味方して上杉謙信に追われ、かつて神社の荘園であった小川村の筏ヶ峰(いかだがみね)に移り、ここに宝光院、中院奥院を建て法灯を守りつつ故郷へ戻れる日を待ちました。しかしながら頼みの武田家は滅亡してしまい、関ヶ原合戦の敗北で上杉景勝が米沢へ移されるまで、30年もこの地で過ごしたのでした。現在、三院跡にはひっそりと小社が祀られています。」(小川村サイトより引用)

 写真は、今回訪れた奥の院から見た戸隠連峰。遠くに見える戸隠を毎日拝みながら、戦乱の世が去る事を祈ったのでしょう。しかし、戻るのに30年を要しました。今聞こえるのは蝉の声のみ。福島の避難者を思いました。30年で帰れるでしょうか。無理でしょう。プルトニウムは半減期ですら24000年ですから。アーニー・ガンダーセンは、福島の放射能汚染水が太平洋に流出するのを止める方法はないと言っています。美しい信州の山並みですが、あの戸隠連峰をオスプレイが飛ぶ予定なんです。

 この「戸隠神社信仰遺跡」へは、国道19号線の小川神社向かいの道から標識に沿って登って行きます。小さな集落を抜けてつづら折りに山を登り、本当にこの道でいいのかなと不安になりつつ、林道を4キロほど詰めると「戸隠神社信仰遺跡」の看板のある場所に着きます。道の脇に一台ほど駐車できるスペースがあります。そこから200mほど参道を登ると小さな祠のある奥の院に着きます。熊鈴があった方がいいでしょう。そんな所です。奥の院は戸隠方面が伐採されていて展望があります。戦乱の世が終わる事を毎日祈念し続けた人々の想いが偲ばれます。帰りは、この場所ではUターンできませんが、100mほど進むと旋回できる場所があります。

 行き当たりばったりの旅は、そのまま西進して白馬へ。白馬三山(白馬鑓ヶ岳・杓子岳・白馬岳)の雄姿が見えました。猛暑で今年は残雪の量が少ないのではないでしょうか。この直後沢山のパラグラーダーが蒼天の大空を舞い始めました。安曇野は自然放射線量が元々高い地域ですが、この夏糸魚川からプルームが遡って更に上がった日がありました。この美しい田園風景を見ていると、とてもそんなことは想像できません。そこが放射能の最も恐ろしいところなのです。さて、どこへ行こう。

 仁科三湖の最北に位置する標高832mの高原にある青木湖へ。子供達がカヌーをしていました。この後、手前の黄色いゴムボートから子供達が、ライフジャケットをつけて次々と湖に飛び込んだのですが、結構高さがあり、一番小さい子は身長より高くなるほど。でも思い切って飛び込んでいましたよ。年上の子は前方宙返りや後方宙返りで飛び込んでいました。高原の湖なんですが、水温は以外と温いんです。川中島には、青木姓を名乗る人々が沢山いますが、仁科氏の一派が川中島合戦後に住み着いて、故郷の青木湖を偲んで青木と名乗ったといわれています。

 湖の対岸からは、湖岸に下りられる場所がいくつもあります。道路脇に駐車してカヌーを漕ぎだす人達がたくさんいました。カヌーはやりたいですね。水面から見る風景は、全く違う世界ですから。昔、ディンギー(ヨットの小さいやつ)をやっていたことがあるのですが、あの水面を疾走する爽快感は忘れる事ができません。

 お腹がすいたので、急遽信州新町へ戻ります。信州新町道の駅へ。ここは地元でも知る人ぞ知る安くて美味しい蕎麦のメッカです。ところが、ローカルテレビで紹介されてしまったのです。案の定かなり混んでいましたが、回転も速いので大丈夫でした。天ぷらは家で食べているし、名物おしぼり蕎麦は冬が旬なので大ザルを注文。つゆは甘くなくすっきり、蕎麦は腰もあって安定の旨さでした。売店の手作りコンニャクや蜂蜜もおすすめです。信州新町はジンギスカンも有名ですが、これはしょっちゅう食べています。信州人のBBQには欠かせません。北海道と違うのは、野菜に乗せて蒸し焼きにするのではなく、信州リンゴのタレに漬けた肉を直接焼いて食べるということ。冷えたビールに合います。

 食欲が満たされた後は温泉でもと12号線を麻績村へ。ところが運転手とカーナビが優秀なものでどこをどう間違えたか脇道へ。すると上ノ平展望台の小さな看板を発見。即行ってみようとなりました。山道を登って行くと最後は軽トラがやっと通れる様な農道へ。ギリギリ3ナンバーも行けそうだと登ると、そこが展望台。しかし、佇まいがどこか変。どうも中島さんの私有地のようです。淡竹のタケノコ狩りは無料。孟宗竹は無料だけど要予約。水仙五千株、ジャーマンアイリス三千株。無料望遠鏡付き。駐車場四阿あり。北アルプスのパノラマ山座同定看板もありと至れり尽くせり。残念ながらこの日は北アルプスは霞んでいましたが、ここはおすすめです。

 更に展望台最上部へ登ると、反対側には北信五岳(妙高山、斑尾山、黒姫山 、戸隠山、飯縄山)が望めるのです。そして眼下には、日本の棚田百選の塩本の棚田が見えます。住人はほとんど老人ばかりで、若い人達は下に下りてしまっているのでしょうけど。下の国道を走っていたら決してお目にかかる事のない風景です。信州を走る時は、幹線道路から外れることです。但し、事前にネットで情報を充分に得る事が大事。舗装道路が突然山中で消えたり、舗装路でもとんでもない深山に連れて行かれたり、遭難しかねない事態も。それと、山道は夜間は走ってはいけません。魔界の世界に突入します。

 上ノ平展望台から、眼下に信州新町とろうかく(楼閣)湖。遠くに戸隠連峰。2011年の3月15日の夜には、この犀川沿いに放射性プルームが遡ったのです。知人の奥さんの実家が旧美麻村で、毎年キノコ狩りをしていたのですが、キノコから90ベクレル/kgの値が出て愕然としたそうです。この写真の風景も斑状に汚染されています。それが現実です。

 上ノ平展望台から西方を見たところ。くっきりと晴れていれば北アルプスの大パノラマが堪能できます。その手前は、大姥山やヒカゲツツジで有名になった京ヶ倉など、登って面白い山がたくさんある山域です。ヒカゲツツジは、ゴールデン・ウィーク頃が見頃です。1000m足らずの山ですが、急登や岩場が多く首都圏からも登山者が訪れる人気の楽しい山です。
ヒカゲツツジ咲く春の京ヶ倉スライドショー。友人のフォークソングがBGM。ヤマザクラが満開。
灼熱の夏の京ヶ倉スライドショー。ジャズ「Willow Weep For Me」がBGM。行程の様子がよく分かります。
 そして、この後はひと風呂浴びようと、北アルプスが一望できる麻績村の「シェーンガルテン麻績」へ。ホテルとレストランですが、日帰り入浴もできます。入浴後にテラスでビール。名古屋からのサイクリストに出逢いました。自転車談義の後で、放射能汚染の話へ。奥様がロシア人で、色々情報が入って来たとか。7月末からは度々福一からは閃光や放射能の高濃度の蒸気が噴出されるのが目撃されています。収縮どころかもう手の施し様がない事態に進んでいると海外の専門家は見ています。信州の高原の美しい風景を前にしてなんとも不似合いな話題でしたが、福一からは300キロも離れていない場所なのです。情報弱者でいたら、もしもの場合大量被曝する可能性があります。そんなことを話して、URLカードをお渡ししてKさんと別れ帰路につきました。

にほんブログ村 写真ブログへ にほんブログ村 写真ブログ ネイチャーフォトへ にほんブログ村 アウトドアブログへ にほんブログ村 アウトドアブログ ハイキングへ にほんブログ村 歴史ブログへ にほんブログ村 歴史ブログ 日本史へ

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 34度! 猛暑の茶臼山で真夏... | トップ | 「妻女山」「妻女山 行き方」... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アウトドア・ネイチャーフォト」カテゴリの最新記事