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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

魚眼レンズで見る陣場平の貝母。つぼみが垂れ始めて開花の兆し。梅とダンコウバイの林道倉科坂線(妻女山里山通信)

2022-04-01 | アウトドア・ネイチャーフォト
 週末は北アルプスもくっきり見えるピーカンの空。最高気温は12度と低いのですが、寒風がほぼないので日差しを浴びていれば寒くはありません。晴天で、鞍骨城へ向かう人もけっこういました。森のあんずも開花したそうです。日月は崩れそうですが、その後は気温も上昇して、春は一気に進むでしょう。里山ハイキング・トレッキング・トレラン・マウンテンバイクに最適のシーズン到来です。梅、あんず、ソメイヨシノ、山桜、カスミザクラ、オオヤマザクラ、レンギョウ、ユキヤナギ、桃、コブシ、タムシバ、リンゴと咲き乱れていきます。拙書では、それぞれの里山に咲く樹木の花や山野草を紹介しています。

 陣場平の広さを表現するために今回は魚眼レンズを持ってきました。それでも全体は写しきれませんが。林道から看板のある上の入り口から小道を50mほど歩くとここに出ます。向こうが東方で松代方面。中央奥のクマノミズキの大木の左側は、ヨシとノイバラを除去して貝母の球根を植えてきたところです。

 右へカメラを振ると、林内の貝母の群生地。貝母は、GWごろに結実し、6月下旬から7月上旬にかけてさく果が種を飛ばします。その時に東風(こち)が吹くことが多いので、種は主に西に飛び、林内に群生地を作ったのです。ここは半日陰なので開花が遅いため、長く花を愛でることができます。落枝や立ち枯れが多いので、保全活動をします。

 最初の撮影位置と反対側、東南からのカット。貝母の中心的な群生地になります。この左と右と後ろにも群生地があります。一見枯れ葉の部分にも、種がこぼれて生えた実生がたくさん出ています。球根は翌年に開花しますが、種で増えたものは開花するまでに4,5年かかるのではないかと思います。

 午前中、貝母は朝日の昇る東を向いています。そして午後になると太陽を追いかけて西を向きます。里山の保全活動や貝母の保全作業というのは、こうしたいとか、こうすべきとかではなく、自然の力を借りて自然と対話しながら進めていく方がストレスなく上手くいくような気がします。自然を完全に管理するというのは、欧米的な思想でしょう。東洋人、特に日本人は、自然との対話とか共生を古代から考えやってきたと思います。自然災害に度々見舞われたという経験が根底にあるのかも知れません。縄文の生き方は、弥生人や高句麗の帰化人が入ってきても継承されてきたのでしょう。自分対自然と考えない。自分も自然の一部と考える。しかし、戦後は欧米の思想にかぶれた政策がはびこりました。その大きなしっぺ返しを受けたのが福一の大事故だったのではないでしょうか。もう一度、自然や宇宙との共生を考える時期に来ていると思います。

 貝母のつぼみは最初上を向いていますが、次第に下を向くようになります。これが開花の兆しです。おそらく次の週末には開花するでしょう。今年の開花は10日頃。見頃は、15〜25日頃になると思います。今回は、ノイバラとヤマガシュウ、ヤマフジの除去をしました。それと強風での落枝を片付けました。

 ヤママユガ(山繭蛾)の繭。テンサン(天蚕)ともいいます。成虫の翅開長は12〜15センチと大きな蛾です。幼虫はブナ科のナラ、クヌギ、コナラ、クリ、カシ、カシワ、ミズナラなどの葉を食べます。成虫は、8〜9月頃に羽化します。この繭にも蛹が入っています。この繭からは、天蚕糸が600〜700mとれます。長野県ではこれを飼育して織物を作っています。

 林道倉科坂線を歩いてみました。鳥が運んできて根付いたのでしょう。梅が咲いていました。

 咲き誇るダンコウバイ(檀香梅)。コゲラのドラミングとシジュウカラの鳴き声が聞こえます。

 ダンコウバイの向こうに松代の東にそびえる奇妙山のシルエットが見えます。拙書でも載せていますが、本来は帰命山であり、本名を仏師岳・仏師ケ岳という修験の山です。山頂は古い山城です。

 林道から眼下に松代PA。上りでは産直の新鮮な野菜が買えます。上りと下りは階段でつながっていて、手前の403号線からも入ってレストランなどを利用できます。信越トレイルの手前は飯山。向こうは新潟です。信越トレイルは、極一部しか歩いていませんが、ブナの森はおすすめです。信越トレイルは斑尾山から始まりますが、下って沼の原湿原を通ります。ここは何回も訪れているおすすめの場所。アメリカのジョージア州から来訪のトレイルを縦走中のハーフの女子大生と邂逅したのもここで、ブログにも何度かアップしています。おすすめの湿原です。

 鴨と木曽のすんき漬けの蕎麦。すんき漬けは京都のすぐき漬けと似ています。どちらも乳酸発酵を利用する漬物ですが、すぐき漬けは塩を用い発酵過程で温め、すんき漬けは無塩で寒くないと作れません。すんき漬けは無塩なので蕎麦などに合います。右は手前が山蕗とスギヨのビタミン竹輪のかき揚げ。向こうが黒大豆の自家製納豆のかき揚げ。どちらも春の素朴な一品です。4月に入ると信州は、山菜の季節を迎えます。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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