あほ

あほはね　すごくひどいことをするよ
あのね　たとえばね
ひとのあたまのなかで　こんなことをいうのさ
「おまえはね、つらいことになってるよ」
そうするとね　ひとはね
どうしようもなく　つらくなるの
なんだかわからないけど
どうしても　いたいことをしたくなるの
いやなことを　したくなるの
そしてね　ほんとうに　そのひとが
いやなことやわるいことをやってしまうと
あほは「つれえわ、おまえなんか」とか
「あほだよ、おまえなんか」って
あほみたいにわらってるよ

もし、なんだかきぶんがわるくって
りゆうもなくいらいらしたり
とにかくつらいんだって感じがしたら
これはあほがやってるのかもって
思うことだよ
そして「わたしはつらくないよ」って
自分に言うことだよ
あほはほんとうにいやな感じがして
でていっちゃうから

あほはね　どうやっても
にんげんを悪いものにしたいと
思ってるらしいよ
だって　そうじゃないと
自分がつらいからさ
うそやずるばっかりやってる自分が
どうしても痛いからさ
それでずっとずるやって
それがずっとくるしくって
だからまたずるやって
痛くって痛くって
とうとう
にんげんなんかみんな馬鹿だっていうんだよ

痛いんだよ痛いんだよ痛いんだよ
どうしようもなく　痛いんだよ
あらゆることをあほにするのは
みんなをばかにするのは
あんまりにくるしいからだ
自分にはなんにもないんだって思っているんだよ

本当はそうじゃないんだけどね
やっとわかったかって時がくるまで
あほはずっとくるしいんだよ

これが

世界中の
あらゆる自分の中で
これが
自分の　自分