オレンジ・ケーキの中に
小さな金のコインをひとつ
隠しておいた
誰か当たった人には
幸せが来る
どんな幸せかな
オレンジ・ケーキを切り分けて
みんなに分けてあげよう
幸せだな だれに届くだろう
金のコインにこめた
小鳥のような はちみつの愛のささやき
あ 誰かに当たったみたいだ
ケーキの中からコインを取り出して
幸せそうに笑いながら
みんなに見せている
みんなもうれしそうに言っている
よかったねえ 今日は君が
いちばんの幸せ者
ぼくはわくわくしながら見ていた
コインを当てた子は
金色のコインを明りにかざして
きらきらするのを嬉しそうに見ている
ああ ほら
ぼくがコインの中に込めた
愛のささやきが落ちてくるよ
ほうら今 君の口の中に入って行った
甘いだろう 信じられないくらい
ミントよりすがすがしくて
オレンジよりもあたたかくて
りんごよりも甘酸っぱい
君が大好きで 抱きしめたい心を
神様はいつも我慢している
だって神様に抱き締められてしまったら
人間は愛に溶けてしまうから
だからぼくは かわりに小さな詩人になって
オレンジケーキの中の秘密に
神様の愛を隠したのだ
金色のコインは君の宝物
神様からもらった愛の宝物
そこからしたたり落ちる愛のささやきは
金色の小鳥の一節の歌
君のこころに 愛の卵を生む
今日の一番の幸福者は君
神様が選んだ 君
ああ きっと君は幸せすぎて
明日から 神様の愛を誰かに伝えたくて
たまらなくなるだろう
そしてきっと 小さなレモンパイをつくって
その中に かわいい銀の鍵を隠すのだ
小さな幸せの歌をこめた
次の幸福者は いったい誰だろうね