ニルス・ブロメール
ニョルズの娘、フレイの妹、オズルの妻にして、愛と美と豊穣の女神。輝くほどに美しく、猫の引く車に乗って旅をするという。
彼女は夫オズルを愛したが、オズルはフレイヤとの暮らしにあきてしまい、ある日ふらりと出て行ったまま帰らなかった。フレイヤはさめざめと泣きながら猫の引く車に乗り各地をさすらって夫を探した。フレイヤが落とした涙は岩のわれめに染み込んで黄金となった。各地に黄金の鉱脈があるのは、フレイヤが夫を探す旅の途中で涙を流したからだという。
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イシュタルやアフロディテのような女神はどこの神話にも登場します。最も美しい女性の神というのは、神話には必要不可欠のようだ。ヴィーナスなどはゼウスよりも頻繁に絵に描かれている。人間にとって、いかに美しい女性が魅力的なものかということでしょう。そんな美しい女神が夫に去られてしまうというのは面白い。いかに美しい女神にも、思い通りにならないことはある。夫にすがるように各地を探してさすらう女神の姿に、本当の美しさとは何かということを考えます。