レンブラント・ファン・レイン、17世紀ネーデルラント、バロック。
この女性像は、ひねくれた若い人類の特徴をよく表している。勉強の遅れた魂は、時にこういう表情をする。子供のような顔だが、微笑みの中に、嫉妬と復讐の炎が燃えている。二十代だというのに、まるで老女のように見える。これは弱い者が住む暗黒の心の世界を象徴する絵である。この女性は相当に自分が苦しいのだ。だから他人を見る目が異様に深い。モデルは画家の若くして死んだ妻である。どういう女性であったかを、資料から推測することは難しいが、絵を見る限りにおいて、画家は多少なりとも、この女性に恐怖を感じていたようだ。