キラは、萩尾望都の「マージナル」に出てくる主人公です。
似てない分は許してください。萩尾ファンのヒンシュクをかうことは承知で、楽しんでやってます♪ コミックイラストばかり描いてた若い頃のことなんか思い出して。
キラにしては、かげりがなさすぎるので、途中からエーリクにしました。
マージナルは、わたしの感じ方としては、萩尾が生きていた最後の作品だと思っています。それ以後、萩尾望都は、完全に死んでしまった。なぜなら、彼女の絵は美しすぎたからです。この世界は、美しすぎるものが、生きられる世界ではない。
彼女の作品の中で、もっとも美しいのは、たぶん「銀の三角」でしょうね。父親に殺され続ける美しい少年を助けるために、この世のものではない女性が、さまざまに活動している。萩尾望都は、世間にはびこる、常識を装ったあらゆる苦しい呪詛と戦いながら、いかにして自分の魂がこの世で生きるべきかに、悩み苦しみ続けていたのだと思う。
彼女の作品には、すばらしいものが多いですが、時々、ひょっと、なにこれ?というものを描くことがあります。変だな、なんでこんなの描くの?ていう、萩尾にしては駄作としかいえない、ちょっとした短編がある。それは、世間の嫉妬を交わすために、女がよく使う手なのです。あまりに目立ちすぎると、絶対に誰かが、苦しいことをしようとするから。彼女は一度、大きな賞をとったことがありますが、その受賞後第1作で、それをやりました。
わたしは、賞をとったけど、それはたいしたことじゃないのよ。まぐれなの。ひどいのも描くでしょ? て感じでね。それで、世間の(たいていは男たちの)、きつい嫉妬をかわそうとする。でもその手は、たいていの場合、うまくいかない。美しいものは、目立ちすぎるから。
才能のある娘が、この世界で、人生を本来の美しい形で全うできることは、ほとんどありません。みんなこうして、つぶされる。この世界に染みとおっている、見えるが見えない、苦しい嘘の影が、常に彼女たちにささやいている。
「おんなは、あほなことをやめろ」
それに立ち向かおうとして、殺されてきた女性たちの数は、どれだけあるか知れない。
萩尾望都はそのひとり。