世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

マーリンの迷い

2018-09-30 04:11:03 | 青空の神話


エドワード・バーン・ジョーンズ


マーリンはブリテンの王ペンドラゴンとその子アーサーを導いた魔法使いだが、好色な性質があり、美しい湖の妖精ニムエに恋してつきまとう。ニムエはマーリンに興味を持ちつつも辟易し、マーリンをだまして大きな石の下に永遠に封じ込めてしまう。



英雄色を好むという言葉がありますが、それはちょっと違います。本当に英雄的行為ができる男性は、だいたい性的には寡欲なことが多い。そこらへんは克服できているからです。英雄的行為をしながらも性的にだらしないという男には偽物が多いのです。だからよくこういうことになります。





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月の出

2018-09-29 04:10:56 | 青空の神話


カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ


月の女神セレーネはまたの名をルーナといい、ヒュペリオンとテイアの娘、エオスとヘリオスの姉妹。非常に美しく、黄金の冠をかぶり、細月のしるしをつけ、銀の船で空を渡るという。



女神の姿を描いた絵もいいと思ったのですが、これを採用しました。人間の姿をしているより、空の円盤のような姿を見るほうがいい。心が澄んでいく。月神は各地に居ます。いろいろな神話がある。太古の昔から、月は人間の心によりそってきた。人間の心の痛い影にも柔らかな光を注いできた。その美しさを表現するために、人間は様々な想像力を働かせてきたのです。





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ティターニアとボトム

2018-09-28 04:11:02 | 青空の神話


ヘンリー・フュースリ


妖精の女王ティターニアは、取り換え子をめぐって夫オベロンと夫婦喧嘩をする。そしてオベロンの従者パックのいたずらによって、ロバの頭をつけた機械工ボトムに恋をしてしまう。



シェイクスピアは、高慢ちきな女性に苦い思いを抱いていたようだ。時にティターニアのような女性をからかうような話を書きます。確かに昔から、気位が高くケンカばかりしている女性には、周りはとても苦労していた。何もわからない人というのはいつも、人の心を苦しめていることにすら気付かないのだ。だからこんなところで、留飲を下げたりするのでしょう。





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ロミオとジュリエット

2018-09-27 04:10:55 | 青空の神話


アンゼルム・フォイエルバッハ


モンタギュー家の一人息子ロミオは、対立するキャピュレット家の一人娘ジュリエットと恋に落ちる。困難を越えて幸福になろうとする二人を両家の憎しみや、あらゆる社会の波が翻弄する。結果的に二人は悲劇的な死をとげる。



恋というものは時に、どうしようもない人間の争いに問を投げかけるものだ。憎いはずの人に恋してしまう。争いあっている民族同士で恋するふたりができたりする。争いなど、心の行き違いがあるだけで、人間は本当は、素直な心で愛し合うほうがずっと楽だということを知っているのでしょう。





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聖ジャンヌ・ダルク

2018-09-26 04:10:57 | 青空の神話


フランク・クレイグ


農夫の娘であったジャンヌはある日神の啓示を受け、フランス国軍に飛び込み、イギリスとの戦争に苦しんでいたフランスを救った。だがその後敵軍の捕虜となり、異端審問を受けて有罪となり、火刑に処され、19歳の若さで死んだ。フランスは彼女を助けなかった。



キリスト教に聖者はたくさんいますが、聖の字を頭につけても恥ずかしくないのは、本当はジャンヌだけです。人間はまだ聖の字をつけることはできません。そのような生き方ができるまでの経験をしていないからです。このような激しく苦しい人生を味わってもなお、愛ですべてを人々のためにやらねばならない。そこまでいくには人間は苦しすぎるのです。





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ネッソスの死

2018-09-25 04:10:52 | 青空の神話


ジュール・エリー・ドローネー


ケンタウロスのネッソスは、ヘラクレスの妻ディアネイラをさらおうとしたところを、ヘラクレスに殺された。だが死の間際彼はディアネイラにささやいた。自分の血には媚薬の効果がある、ヘラクレスが心変わりしそうになったらそれを使えと。後にディアネイラは、ヘラクレスが美女イオレを手に入れた時、それを実行する。ヘラクレスの心をとどめたい一心で彼の下着にネッソスの血を塗ったのだ。だがその血には猛毒が含まれていた。その下着を着たヘラクレスは瀕死の重傷を負い、死を決意して自分の火葬の準備をし、ポイアスに火をつけてもらって死んだ。



勇猛な男というのはよくこういう死に方をするものです。思い切った行動をし、その反動を身に浴びて死ぬのです。時々それは英雄とは思えないほどみじめなものになる。かのヘラクレスでさえ、それからは逃げられなかった。男にとっては死ほど恐ろしい敵はない。それに勝てた者はいない。





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カリュプソ

2018-09-24 04:10:53 | 青空の神話


アトラスの娘にして海の女神、オギュギア島にひとりで住んでいたが、そこに流れ着いたオデュッセウスを愛し、七年の間彼を島に引き留め、二人の息子をもうけた。だが帰国を望むオデュッセウスの心を無視することはできず、最後には彼を島から送り出した。



愛した男と離れることは女にはつらかったでしょう。ですが、彼の気持ちを思えば、いつまでも引き留めておくことはできない。男のために自分の気持ちを切るということがどういうことかは、経験したことのあるものでないとわかりません。





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バルドルの死

2018-09-23 04:10:47 | 青空の神話


クリストフェル・ウィルヘルム・エッカーズバーグ


神々の王オーディンと妃フリッグの息子、麗しの太陽神バルドルは、死ななければならないという夢のお告げを受けた。これを心配した神々は、すべてのものにバルドルを殺さないで欲しいと誓いを立てさせた。あらゆるものがこれに従い、決してバルドルを傷つけようとしなかった。ただ、宿り木だけがひ弱で無害と思われて誓いを求められなかった。それを聞いた悪神ロキが、バルドルの兄弟で盲目のヘズに宿り木を渡し、バルドルに向かって投げさせた。バルドルは宿り木に貫かれて死んだ。



小さなものでも決して侮ってはならないという教えが見えますね。なんでも、大きな失敗のもとは、小さなものを侮ることにあるのです。どんなものにも強い自分があることを忘れてはならない。





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運命の女神

2018-09-22 04:11:14 | 青空の神話


フランチェスコ・サルヴィアーティ


運命の女神はアトロポス・ラケシス・クロトの三姉妹である。運命の糸は、クロトが紬ぎ、ラケシスがはかり、アトロポスが切る。このようにして人間の寿命は決まるのだとされた。



運命の女神モイライは、若い女性の姿で描かれることもありますが、これは老婆の姿で描かれていますね。そのほうが運命の残酷さを表すかもしれません。しかし残酷なのは本当は神でない。人間の運命と寿命を決めているのは人間なのです。自分が過去になしたことが、現在の自分に影響し、未来を決めるのです。






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放蕩息子

2018-09-21 04:11:02 | 青空の神話


ヤン・サンデルス・ファン・ヘメッセン

ある人に二人の息子がいた。弟の方が生前分与してくれと言ったので、父親は財産を二人に分けてやった。だが弟はそれを遠い国に持って行ってそこで放蕩の限りを尽くし、財産を使い果たした。その時飢饉が起こり、困った彼はある人の所で豚の世話をした。その豚の餌さえも食べたいと思うほど、食うに困った。悔いた彼は父のもとへ帰る決意をする。



イエスの放蕩息子の帰還の説話は、彼のやさしさを教えています。どんなに遠く迷っていても、我が子を待ってやりたいという親の心です。だが、現実はこのようにうまくいかないこともあります。子供が親の忍耐の限界を超えてやり過ぎれば、親も子供を拒否する可能性もあるのです。すべての親に、イエスのような愛を期待してはいけません。





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