おまえたちが いるから
おれは苦しいんだって
君は 言う
おまえたちが 馬鹿だから
おれはつらいんだって
君は 言う
でも ぼくには
君のほんとうに言いたいことがわかる
君は
だれよりも
おれを大切にしてくれって
言いたいんだ
だれよりも
おれを愛してくれって
言いたいんだ
遠い昔 君は おかあさんとけんかして
おかあさんが くれた絵本を
みんな 燃やしてしまった
それには おかあさんがかいてくれた
きれいな絵や ことばが
たくさんつめてあったのに
おかあさんを きらいだと言って
みんな もやしてしまったら
君は なにもかも なくしてしまった
知ってる
君は それがつらくて
悲しかったのが いやで
みんなに 背を向けて
むりにでも さみしくなんかないんだって
風の向こうに 走って行った
何もない 灰色の心臓を抱いて
君はそれが今でも いたいんだ
つらいんだ 悲しいんだ
泣いているんだ
だから 誰よりも
おれを大切にしてくれって
言う
誰よりも
おいで
今 君が
ぼくを 振り向いてくれたら
いっしょに行ってあげるよ
手をつないで おかあさんのところにいって
一緒に あやまってあげるよ
おいで
一緒に行こう
振りむいて
ぼくは 知ってる
本当は 君が
とても いい子だってことを
(オリヴィエ・ダンジェリク詩集『空の独り言』より)