いやがっているのに
やめようと
苦しんでいるのに
やめようと
誰も言わない
その娘が 何をしたと
いうのだ
乱暴はよしなさい
ジーザス・クライストが
何をしたと 言うのだ
みんな 暴力はやめなさい
誰も言わなかった
ひとりの娘が 死ぬまで
ジーザス・クライストが 死ぬまで
誰もやめなかった
誰も言わなかった
弱きものは 大勢になると
その力によって 無限の狂気に落ちる
幻の魔王が 降りてくる
誰もそれを止めることが できなかった
わがなは れぎおん
おおぜい なれば
その国の王は
大勢という 名前だった
みんしゅしゅぎという 名前だった
誰も 知らない
そいつがどこかにいて
すべてをやっていた
大勢とは 誰なのか
誰に聞いても知らないと言う
だが
大勢という王によって
殺された娘と
ジーザス・クライストの骸の山が
国の影に 永遠のように君臨していた
幻の 魔王よ
その名はれ ぎ お ん
大勢と言う
誰もいない 王である
誰も いない 王 である
われわれは 支配する
暴虐の 限りを尽くす
甘い酒をなめ 影に潜み
下品な笑いを 腹にかくす
童女のごとき 妊婦である
弱きものの 呪いを
永遠に孕んだ 阿呆である
けして生むことはない
王宮はない
誰もいないはずなのに
誰かがいる
その王の顔は知らないと
誰もが言う