「古いアルバムめくり ありがとうってつぶやいた」
(涙そうそう 作詞:森山良子)
父が古いアルバムを手に話しかけてきた。
「今年のお盆はケンちゃんが来るかもしれないのでコイツをパソコンで印刷できないかなぁ?」
紺色の布張り表紙に黒い台紙のアルバムは昭和初期から戦中ぐらいまでの写真が貼ってある。
父が開いて見せたページには祖父の末弟(故人)が軍服姿で刀を手にした写真や乗馬した写真が数枚あった。
ケンちゃんは写真の大叔父の息子。
大叔父は東京に丁稚奉公に出たのち兵役につき軍馬の世話や軍用車の運転をしていたそうで当時の晴れ姿を実家に送ってきたらしい。
そんな大叔父の息子であるケンちゃん(戦後生まれ)は大叔父から従軍中の話は聞かされていたそうだ。
しかし、当時の写真は一枚も残っておらずその雄姿は目にしていないとか。
母の法事の折にそんな話しが出たらしく父が古いアルバムの中から見つけだしておいたようだ。
セピア色に変色した写真もスキャンすればモノクロに変換できるのだが、あえてセピア色を残した方が雰囲気が出るかと思いカラー印刷した。
午後からケンちゃん夫妻が訪れ、盆棚に線香をあげてもらってから挨拶もソコソコに件の写真を進呈すると
「当時の家は戦災で焼け、写真も持ち出せなかったようです。
戦後この家から貰った物らしい出征時にこの家の庭で撮った写真が一枚あります。
裏に黒い紙が張り付いてますからこのアルバムからはがしたものかもしれませんね。
しかし、それ以外の写真はみたことがありません。
大事にとっておいていただいてありがとうございます。」
と、とても喜んでくれた。
そのうちに伯母や姉がやってきて一緒にアルバムを見ながら
あれはだれだろう?
これはだれの写真か?
という事になったのだが如何せん私が生まれる以前の写真。
父の記憶から数枚の写真は名前まで出てきたのだがどうしても分からない記念写真が三枚ほど。
一枚は小学校の記念写真。
伯母が天眼鏡をかざして繁々と見るに、
「コレは○×ちゃんで本郷に嫁さんに行ってるよ。
これが△○ちゃん!!
ショウちゃんの同級だからどこかに写ってるはずだけど・・・
あぁ!!いるいるコレがそうだよ!!」
朝一番に訪れた叔父の写真だった。
二枚目は善光寺での記念写真。
日付も何もないがかなり古いもので私の曽祖父か曾祖母が写っているはずだと父が言うのだが細かすぎて誰にも判らない。
曽祖父は私が中学一年の時に亡くなったのだが、その時点で九十二歳。
あまり若い時の写真は残っていないのだが私には一目で判った。
「これが曾お祖父さんじゃぁ?」
「どれどれ?そうだよ良く判ったなぁ!!」
三枚目は結婚式の記念写真。
新婚さんが羽織袴に打ち掛けですまし顔で写っている。
今なら絨毯の上でもゾウリを履くのだが、当時の写真は白足袋のままだった。
「さぁ誰だろう?」
父や伯母にも見覚えが無い二人が写っている。
ケンちゃんが言った。
「この人は私の母の末妹です!!
二人ともすでに亡くなりましたけど伯父夫妻の写真ですね。」
父の話では大叔母の次妹は家に遊びに来た事があるそうだが、なぜ末妹の結婚式の写真が家にあるのか判らないという。
さらにアルバムをめくるとどこぞの海岸で和服姿の美人がポーズをとっている写真があった。
「これが○×の大叔母さんだよ。」
「えっ~!!ほんと!?」
私の記憶にあるのはしわくちゃになった小さいお婆ちゃん。
幾枚かの写真の身元が判明したのと同時に信じがたい謎が増えた思いが(笑)
(涙そうそう 作詞:森山良子)
父が古いアルバムを手に話しかけてきた。
「今年のお盆はケンちゃんが来るかもしれないのでコイツをパソコンで印刷できないかなぁ?」
紺色の布張り表紙に黒い台紙のアルバムは昭和初期から戦中ぐらいまでの写真が貼ってある。
父が開いて見せたページには祖父の末弟(故人)が軍服姿で刀を手にした写真や乗馬した写真が数枚あった。
ケンちゃんは写真の大叔父の息子。
大叔父は東京に丁稚奉公に出たのち兵役につき軍馬の世話や軍用車の運転をしていたそうで当時の晴れ姿を実家に送ってきたらしい。
そんな大叔父の息子であるケンちゃん(戦後生まれ)は大叔父から従軍中の話は聞かされていたそうだ。
しかし、当時の写真は一枚も残っておらずその雄姿は目にしていないとか。
母の法事の折にそんな話しが出たらしく父が古いアルバムの中から見つけだしておいたようだ。
セピア色に変色した写真もスキャンすればモノクロに変換できるのだが、あえてセピア色を残した方が雰囲気が出るかと思いカラー印刷した。
午後からケンちゃん夫妻が訪れ、盆棚に線香をあげてもらってから挨拶もソコソコに件の写真を進呈すると
「当時の家は戦災で焼け、写真も持ち出せなかったようです。
戦後この家から貰った物らしい出征時にこの家の庭で撮った写真が一枚あります。
裏に黒い紙が張り付いてますからこのアルバムからはがしたものかもしれませんね。
しかし、それ以外の写真はみたことがありません。
大事にとっておいていただいてありがとうございます。」
と、とても喜んでくれた。
そのうちに伯母や姉がやってきて一緒にアルバムを見ながら
あれはだれだろう?
これはだれの写真か?
という事になったのだが如何せん私が生まれる以前の写真。
父の記憶から数枚の写真は名前まで出てきたのだがどうしても分からない記念写真が三枚ほど。
一枚は小学校の記念写真。
伯母が天眼鏡をかざして繁々と見るに、
「コレは○×ちゃんで本郷に嫁さんに行ってるよ。
これが△○ちゃん!!
ショウちゃんの同級だからどこかに写ってるはずだけど・・・
あぁ!!いるいるコレがそうだよ!!」
朝一番に訪れた叔父の写真だった。
二枚目は善光寺での記念写真。
日付も何もないがかなり古いもので私の曽祖父か曾祖母が写っているはずだと父が言うのだが細かすぎて誰にも判らない。
曽祖父は私が中学一年の時に亡くなったのだが、その時点で九十二歳。
あまり若い時の写真は残っていないのだが私には一目で判った。
「これが曾お祖父さんじゃぁ?」
「どれどれ?そうだよ良く判ったなぁ!!」
三枚目は結婚式の記念写真。
新婚さんが羽織袴に打ち掛けですまし顔で写っている。
今なら絨毯の上でもゾウリを履くのだが、当時の写真は白足袋のままだった。
「さぁ誰だろう?」
父や伯母にも見覚えが無い二人が写っている。
ケンちゃんが言った。
「この人は私の母の末妹です!!
二人ともすでに亡くなりましたけど伯父夫妻の写真ですね。」
父の話では大叔母の次妹は家に遊びに来た事があるそうだが、なぜ末妹の結婚式の写真が家にあるのか判らないという。
さらにアルバムをめくるとどこぞの海岸で和服姿の美人がポーズをとっている写真があった。
「これが○×の大叔母さんだよ。」
「えっ~!!ほんと!?」
私の記憶にあるのはしわくちゃになった小さいお婆ちゃん。
幾枚かの写真の身元が判明したのと同時に信じがたい謎が増えた思いが(笑)