<<Google CEO のコメント>>
5月29日、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」でGoogleのCEO、エリック・シュミット氏のインタビューがあった。
司会者の脳科学者の茂木健一郎さんの紹介によると Googleは「就業時間の20%を自分の好きな開発に使ってよい」う20%ルールを社則に持つユニークな会社だそうだ。
それを率いいる彼からまた多くのユニークな発言があったので今までの日本企業のやり方と比較して紹介する。
1.「クリエイティブになれ、言われてもクリエイティブにはなれない」
クリエイティブなアイディアを得るためにはそれを褒めてやり、それを覚えておくとで、創造的な人たちが話し合える雰囲気を作る。
(提案制度、小集団活動、QC制度、改善制度)
2.「大事なのはアイディアの間違いを認めすぐに修正すること」
かつて新聞広告についてのシステムを作ったが、失敗したので、作り替えたところ、成功した、つまり、やり直すほど優れたものになることは多い。
(カメラ、時計、自動車など世界の先端に立つ業種の顧客のクレームへの迅速な対応、改善)
3.「集団の方が個人より優れた判断が出来ると信じている」
(提案制度、小集団活動、QC制度、改善制度)
4.「リーダーにとって最も重要な資質は、他人の意見を聞いて学ぶ能力」
話すことより聞くことのほうが効果をあげることも多い。
古いタイプの経営者は部下の話を聞かないで命令する上司が多かったが、Googleでは誰でもCEOである彼に直接話す事ができる。
日本の Google の社員には「もっと声高に主張しろ、もっと意見を出しなさい」と言っている。
(日本の場合役員は重役室に閉じこもり一般従業員にとって雲の上の存在と見られる事が多かった。)
彼の具体的な会議運営のやり方は
(1)まず会議では「何が起きているのか?」とみんなに尋ねる。
(2)それから「私はこう思うけど?」といって反論や意見をしばらく待つ。
(3)結果的に参加している人みんなを巻き込んだ議論に導く。
(4)最後に彼の意見が正しいと思うか、否かを聞いて、その全体の意見に従う。
この会議のやり方の根本は、「集団の方が個人より優れた判断が出来ると信じている」点にあり、彼の信念からくる運営方針だ。
(システム開発型企業の日本で言う現場主義)
社員の提案に対する対応
(1)提案されたらすぐに「すばらしい、やってみたら」と言う。
(2)しばらく経ってから「あの件はどうなっているの?」と聞いたり、メールを送る。
(3)このように、社員からのアイディアを聞いて覚えておく。
(4)聞いたアイディアを結びつけること。
(日本ではこの種の会社役員と一般従業員の会話は殆どなし。)
<<Googleとトヨタ>>
私はこの話を聞きながら、日本での勝ち組のトップを走るトヨタ自動車を頭に浮かべていた。
1.似ている点
(1)Google の会議の運営のやり方と、トヨタの小集団活動である「改善」運動進め方。
(2)両者とも業界のトップ企業。
(3)間違った事を直ぐに直すこと。
トヨタの顧客からのクレームへの素早い反応や、クレームを貴重な技術情報にする柔軟性。
2.似ていない点
(1)会社幹部と、従業員のコンタクト
Google:CEOと従業員が直接のコンタクト。
これは従来型のトップ・ダウン方式の裏返しで、日本のように会社幹部が直接従業員に接触することに抵抗は少ないのだろう。
トヨタ:小集団活動でも一応職制の乗った運営。
(2)勤務時間中での開発活動
Googleはシステム産業だからできるが、トヨタは設備投資を伴う案件については、事実上不可能のところが多い。
<<Google と日本の一般企業>>
バブル崩壊後日本企業は、日本としては始めての大量のレイオフを余儀なくされた。
そして中国企業の台頭対策として、派遣やパートの労働者を採用して、経費節減を図っている。
それに内外の投資ファンドの圧力に負けて、折角回復仕掛かった利益を株主の為に、廻し始めた。
今までなら利益は長期的視野で有効に使うとか、従業員の給料や福祉に廻していたのだが。
これでは日本型経営の良い所が殆ど消えて、米国型の経営になりかかっているような気がする。
詰まり従業員を会社の設備と同列に扱うやり方だ。
これで欧米の大企業や中国などの賃金の極端に低い企業と太刀打ち できるのがろうか。
Google の経営方針を見ると明らかに従来の米国型の経営方式と異なっている。
1.従業員を人間として見てその能力を最大限に活用しようとしている。
2.従来の米国型のトップダウンでなくボトムアップ方式を採用している。
3.グループの活動を重視する。
4.現場主義。
Google の経営方式は日本の従来型のそれと酷似している。
つまり日本が米国型の経営方式に転換しようとしている時に、Googleは日本方式を採用しているのだ。
日本の経営者は、今のように従業員を機械の一部として扱わずに、その能力を引き出すべきだ。
派遣やパートの労働者の殆どが、マニュアル通りに勤勉に働いても、それ以上のものを産むものではないと知るべきだ。
人的資源しかない日本の企業としては、出来るだけかつ早くを彼らを企業に忠実な正式社員としてに組み入れ、それからから無限の可能性を引き出す他に生き延びる方法はないような気がする。
その点から言えば、Google方式は日本の経営者にとって反省材料になるほかは、ほぼ既知のやり方だ。
唯一日本の経営者が彼から学ぶべきものは、経営者が直接に従業員と接触する機会を増やす事と、いざと言う時に自身の責任で時期を逸さずに決断をする ことだろう。
日本も今になって派遣、パート利用による経費節減や海外進出一本槍の方針を転換して、マザー工場の設立など経営の見直しをし始めているようだ。
経営者はもう一歩進めて、Google の経営方式に見られるような人材重視の日本古来の方式について再度見直して欲しいものだ。
<<経団連の幹部の方達への提案>>
派遣労働法や、今回見送りになった残業代ゼロ法案の提案も判りますが、傘下の会社の頭の悪い経営者がそれを一時しのぎに自分の都合の良いよいほう解釈して、結果的に競争力を落としているような気がします。
それと貴方達が推進したグローバリゼーションのお蔭で、経営者達は、当面の緊急課題である会社の競争力を付けるどころか、外国ファンドからの攻撃の防衛策に手を取られているようです。
政府への働きかけも良いですが、傘下会社の経営者教育にもっと力を入れてはどうでしょうか。
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