普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

所謂知識人の不思議な発言

2007-06-08 11:42:30 | 教育問題

教育再生会議が第2次報告を提出した。

その骨子は、
1.授業時数を10%増やす策として、土曜授業、夏休みの短縮、朝の15分授業などが選択肢としてあげられた。

.「徳育」については
6月2日 読売新聞によれば、
当初、国語、算数などと同等の教科とする方向だった。だが、中央教育審議会の山崎正和会長が「教科で教えるべきでない」と発言するなど異論も出始め、報告書では「従来の教科とは異なる新たな教科」にとどまった。
 数値での成績評価は行わない。教科書はつくるが、副読本などと併用し、担任教師が教える。

3.大学・大学院改革

4.公立小中高校の教員給与も、教員評価によるメリハリある支給、公立学校への効率的予算配分
(これは報道によれば、当初の教育予算増額の答申案が安倍さんの国全体の予算削減の強い意欲で縮小されたものらしい。)

私はこれが報道されたときは、教育予算維持を除いては、まあまあこんなものかなと思ったが、たまたま ブログdeなんで屋@東京 
さんのブログ中の堀田力氏(さわやか福祉財団理事長)さんの答申に対するコメントを見て驚いた。

夏休みも土曜日も返上で学力向上を強いられ、その上、学校と親が協力して高い規範意識を植え付けられては、子どもたちの心は今以上に破壊され、無気力になるだろう。
すべての子どもたちの調和のとれた人間形成を目指すならば、幼児教育から大学まで、現場の判断で多様な指導ができるよう大幅に権限と責任を学校に委ね、国は環境づくりに徹すべきだ。
そうなれば社会も総掛かりで協力する気になる
。報告は時代に合わない管理教育・エリート教育の再生を図るものだ。

私は6月6日の社会保険庁の問題で堀田さんの同庁改革への協力の事例を上げたように立派な人だと思っているが、彼の管理教育の再生を指摘した以外のコメントには首を捻るばかりだ。

1.夏休みも土曜日も返上で学力向上を強いられ
(1) ゆとり教育の名で、土曜日の地域の教育の参加が予定されたが、殆ど実行されず、生徒が土曜日を漫然とすごしていて良いのか。
(2)土曜日の休日獲得は、日教組によれば闘争の結果得た成果だとしている。
実際に高校の進学校や、試合へ向けての部活以外に、土曜日の教育への教師の参加など聞いた事は無い。
つまり学校教育の責任の軽減(悪く言えば放棄)だけに終わっている。
(3)学力低下の現実については目を瞑っている。

2.高い規範意識を植え付けられては
答申は「徳育」についての答申だ。

例えば思いやり、親切、兄弟や友達と仲良くなどの教育が何故悪いのだろう。

ことによると答申のなかに規範意識の文言があったかも知れないが、交通ルールを守る事、国の法律など自分の属する団体の規則を守る事を教えて、どうして子供の心が破壊されるのだろう。

子供にやり放題にさせ、そのため学校が荒れたり、精力のはけ口をイジメに求めたりして良いのか。

3.大幅に権限と責任を学校に委ね国は環境づくりに徹すべきだ。そうしたら社会も総掛かりで協力する気になる。
今まで、文部省の指導に反発し、教職員組合に率いられた教師が好き勝手なことをしてきたことが教育環境悪化の一因となっていることを無視している。
つまり実質的には特定思想を持つ日教組などに引きずられてきたのだが、学校は形式上では大幅な権限と責任を持たされていたのだ。

それが学校教育に対する世論の批判を浴びていることを忘れている。
つまり今以上に大幅に権限と責任を学校に委ねるのが教育再生どころか今以上の悪化に繋がることもある。

必要なのは、大幅に権限と責任を学校に委ねる前に、地域社会の小、中学校教育の参加と監視と思う。
堀田さんの言葉を借りれば、国が行うべきは、一部の特定思想を持つ集団に、学校が引きずられないように、地域社会の小、中学校教育の参加の環境つくりが先決であり、権限委譲の絶対条件だと思う。

4.管理教育の再生
エリート教育のコメントが答申の何処から出てきたのか判らないが、管理教育の再生については、私も教育再生会議の傾向として認められるので、堀田さんの意見に一部賛成だ。

今の状態ではある程度の管理強化も致し方ないのか知れないが、その前に学校の教師の仕事がやりやすくなるような次のような環境の整備は是非行って貰いたいものだ。
(1)学校を困らす自己中心的な父兄への対応とその教育
(2)先進国では最低と言われている教育予算の増額
(3)教師の教育に直接に関係ない職務の合理化

私がここまで書いて来てふと思ったことがある。
堀田さんのコメントを聞いて一番喜ぶのは誰だろう。
日教組だ。教育環境の劣化に大きな役割を果たしてきた日教組だ。
次は、録でも無いことで、学校を悩ましている、とんでもない父兄だ。

堀田さんともあろう人が何故この様な珍妙な発言をしたのだろう。
私たちは今まで所謂文化人、知識人と称する人達の不思議な発言を見てきた。
彼らの特徴は、
1.弱い立場の人達(教育で言えば生徒)の言動を善とし、政府などの監督官庁の言動を全て否定的な観方を使用とする。

2.教育に関して言えば、常識からみて明らかにおかしな生徒の言動に意味をつけて、その責任を政府、学校や教育委員会などに持って行きたがる。
教育再生会議が言い出すまで、いじめが悪い事だという当たり前のこと を知識人達が、何故直ぐに言えなったのか。
当たり前のことを言うのは知識人の沽券に関わる事だろうか。

3.社会保険庁の不祥事に関して言えば労働組合、学校で言えば日教組のことはほぼ絶対に口に出さない。
彼らの情報網からはその問題点もそれに対する解決策は十分判っている筈なのに。

マスコミにもお願いがある。
堀田さんのように明らかにおかしな発言をしたとき、田原総一郎さんのように、突っ込みを入れてその真意を正して 貰いたいものだ。
もしかしたら、記事にされたものは彼の真意ではないかも知れない。

そして単なる批判だけのコメントには、対案を聞いて貰いたい ものだ。
私の持論だが、批判からは何も生まれない

批判だけなら、私のような素人でもできる。
堀田さんのような珍妙なコメントを載せることは貴重な紙面を無駄にするものだ。


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